スクウェア・エニックスは5月23日、2007年3月期の連結決算を発表するとともに、中期経営計画を明らかにした。2011年3月期には経常利益を2007年3月期のおよそ2倍となる500億円にしていく計画だ。
2007年3月期の業績は売上高が前期比31.3%増の1634億7200万円、営業利益が同67.5%増の259億1600万円となり、スクウェア・エニックスとして最高益を記録した。海外で大型タイトルが好調な売れ行きだったことに加え、国内でも携帯ゲーム機のタイトルが人気を集めたことが大きな要因だ。
金額(円) | 前年同期比(%) | |
---|---|---|
売上高 | 1634億7200万 |
31.3 |
営業利益 | 259億1600万 |
67.5 |
経常利益 | 262億4100万 | 68.8 |
純利益 | 116億1900万 | ▲32.0 |
特に海外では、これまで欧州でライセンス販売していたゲームタイトルを連結子会社で手がけるように切り替えた。これにより「販売力が大きく伸びた」(代表取締役社長の和田洋一氏)という。ゲーム事業では同社として初めて、海外の売り上げが国内を上回った。タイトルとしてはPlayStation 2向けの「FINAL FANTASY XII」が北米で168万本、欧州で110万本を売り上げたほか、「KINGDOM HEARTS II」が欧州で70万本売れるなど好調だった。また、国内ではニンテンドーDS向けの「ファイナルファンタジーIII」が99万本、「ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー」が141万本というヒットになった。
スクウェア・エニックスは2005月に10月よりタイトーを連結対象としている。不採算店舗からの撤退や人員整理などを行い、「新しいスタートのために必要な処理はすべて終えた」(和田氏)。のれん代が発生したため、AM部門と同社が呼ぶタイトーの業績は2007年3月期に赤字となったが、実質的には黒字とのことだ。
2008年3月期は主力タイトルのドラゴンクエストシリーズの最新版となる「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」の発売が予定されている。ただし業績面では、「新しいゲーム機向けのタイトルは利益があまり出ない。また、携帯ゲーム機向けのタイトルはどうしても利益率が低くなる」(和田氏)という理由から、売り上げ、利益ともに横ばいを見込む。
また、今後の経営計画については、2011年3月期に経常利益500億円を目指す方針を明らかにした。海外での売り上げ比率を大幅に高めるとともに、ゲームの開発に共通プラットフォームを利用することで開発コストを下げる。また、オンラインゲームについても、「2009年〜2010年に大型タイトルを2つほど出せるように仕込んでいる」(和田氏)といい、カジュアルなオンラインゲームと合わせて事業を拡大する考え。
とくに肝となるのはゲーム事業の海外展開。「日本市場の規模は世界市場のおよそ15%。つまりまだ4〜5倍の市場が日本の外にあるということだ」(和田氏)と話し、成長性を強調した。具体的な方策としては、「いかに世界同時リリースをするか、またリテーラーにどう働きかけるかという“べたべた”なところが重要になる」として、地道な市場開拓が必要になるとの考えを示した。
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