新会社では奥村学研究室のテキストマイニング技術とリクルートの編集ノウハウを活用し、ユーザーの声で作られた雑誌感覚のサイトを提供していく。これはつまり、検索されて初めて価値が生まれるプル型メディアではなく、あくまで検索が発生する以前のプッシュ型メディアを目指すということだ。
「ブログ検索のブログウォッチャーは、第三者の体験談を知るために検索するというユーザーをターゲットにしています。ただし、我々が手がけたいのは、メディアであって、ブログの検索サイトではないんです。『“kizasi.jp”や“Technorati”みたいなものですか?』とよく質問されるのですが、より実体験メディアとしてのパワーを持たせられないかと考えているところです」(羽野氏)
今後、羽野氏は、ブログウォッチャーに専任するため、ドコイク?、スゴイ地図からは離れる予定だ。しかし、両サービスで培ったネット上での編集ノウハウやユーザーインターフェイスへのこだわりを、ブログウォッチャーにも随所に取り入れていきたいと語る。
「実はもはや、検索技術自体には、あまり発展の余地はありません。しかし、細かなデータ収集を行うテキストマイニングには、まだまだ改良発展の可能性があります。日本人のブログ人口は600万人まで増加しています。そのうちの1%でも6万人ですよね。ここまで規模が大きくなると、もはやテキストマイニングが間に入らない限り、編集作業は難しい。
産業革命に近いドラスティックな変化のなかで、編集者の役割も変わっていくはずです。編集者がなくなるわけではないと思いますが、私としては、人力で行われてきた編集作業をテキストマイニングの技術を使って機械化していきたいんです」(羽野氏)
ブログウォッチャーの社員は現在4人。サービス開発全般を指揮する羽野氏と、エンジニアが3人。そして堤氏が、外部から資本や営業、アライアンスを担当している。スタッフはメディアとしてのブランディングや広告収入の拡大など、今後の展開に応じて、臨機応変に拡充していく予定という。
「ブログのテーマとして書かれやすいのは、耐久財よりも消費材なんです。住宅などよりも、オーディオや車や衣服といった、いままでリクルートがあまりタッチした事がない商品を扱うクライアントさんに、ブログウォッチャーを介してアプローチできないかと考えています」(羽野氏)
「CGMを名乗っているメディアで、広告出稿に絶えうるメディアって、ほとんどないんです。しかし、クライアントさんからのニーズは、ひしひしと肌で感じているので、広告を出したいけれど出す場所がないという、彼らの不安を解消できるメディアをつくることができれば、きっとマネタイズできると考えています。CGMとして、ユーザーの作ったコンテンツをバランスをとって活かせるかどうか、非常に微妙なさじ加減なのですが、そこにいま、チャレンジしているところですね。それって、誰でも言えるし、考えられることなんですが、実際に成功させるのはすごくハードなんです」(堤氏)
「じゃらん」「Hotpepper」「R25」「ゼクシィ」など、マーケティングを元に細かくセグメント化したメディアを立ち上げ、ピンポイントでターゲットとなる消費者にリーチさせて広告を獲得するというビジネスモデルは、リクルートのお家芸である。この伝統を、いかにCGMビジネスに応用させることができるかが、ブログウォッチャー成功の鍵になってくるはずだ。新サイトは6月15日の公開を目標に開発が進められている。
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