ただ、これが実際どの程度うまく機能するのか、それともMySpaceが単に体裁を取り繕おうとしているだけなのか、といった問題もある。悲観的な観測筋からは、巧妙なハッカーならどれだけ手早く回避策を見つけ出したり「デジタル指紋」を完全回避できるようになるのか、という疑問の声がすぐに聞かれるかもしれない。だがIkezoye氏によると、Audio Magicの特許技術は単にファイルの「ハッシュ値」を生成するより複雑なため、容易には回避できないという。
同氏は、「コンテンツの特定に関しては指紋の方がはるかに堅牢だ。ハッシュはファイルを特定するだけだ」と説明している。もし、Viacomの依頼を受けて「Colbert Report」の映像を排除したとすると、MySpaceのフィルタはMPEGファイルからAVIファイルまで、同映像のあらゆる品質の全形式をブロックする。また、排除された作品のごく一部しか含まれないビデオクリップも排除可能だ。Ikezoye氏は「人間が同じコンテンツだと認識する作業をシミュレートしている」と語っている。
また、ハッカーがこのフィルタを回避するためには、そもそもアップロードする価値もなくなるほどに「コンテンツ自体を認識不可能なところまでメチャクチャにする」必要があると、同氏は加えた。
しかし専門家らは、これまでハッカーがほぼ何でも回避してきた長年の歴史を考え、やや懐疑的な見方を変えていない。
弁護士のLipsitz氏は、「いくら安全なものでも、それを回避する方法は常にあるように思える。常に挑戦が続いており、企業各社は、この手の活動に向けて用意した防止策などの各種対策に対する新たな回避手段を絶えず警戒していなくてはならない」と語っている。
つまり、著作権問題に対する表面上の解決策を開発したからといっても、MySpaceが安心することはできない。同社が今後訴訟を回避するには、コンテンツを完全に掌握しておく必要がある。
Lipsitz氏はさらに、「ウイルスと同じだ。ウイルスを阻止すべく対策を用意しても、ハッカーやコアなコンピュータユーザーがそのウイルス対策を回避するウイルスを作り出してくる。この戦いは『モグラ叩き』ゲームのようにいつまでも続く、あっちを叩いても、こっちからひょいっと顔を出す」と説明を加えた。
EFFのMcSherry氏はこれを認め、「これまでにも多種多様なデジタル著作権管理が存在したが、結局はいつも破られてしまう。だから、いずれはこれも破られてしまうことだろう。時間の問題だ」と語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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