Web 2.0時代における展示会の意義とは--世界最大の展示会「CeBIT」運営者に聞く - (page 2)

インタビュー:永井美智子(編集部)
文:加藤さこ
2007年05月10日 07時00分

――最近は展示会の中でもセミナーの開催に注力していますね。

 技術が非常に複雑になってきているので、ユーザーは単にPCという機械を購入するだけでなく、全体のシステム、あるいはサービスを購入するようになってきています。 非常に複雑な技術を理解するためにも、会議や講演が必要になってきているのです。

 たとえば、今回のCeBITでは、医療分野で手術をするロボットにフォーカスしました。遠隔医療は将来、公的な機関で取り入れられるようになるでしょう。このサービスを単にスクリーンで紹介するだけでは十分な理解を得られません。講演を通した啓蒙、教育が非常に重要になってきます。

――CeBITがこれほど成功している理由はどこにあるのでしょう。

 まず、業界と非常に密接に協力していることが1つの要因です。我々はサービスを提供する側として常に業界のニーズを把握し、それに合ったものを提供しています。業界の人と一緒に展示会を作っていくという姿勢です。自分たちのために展示会を開くのでは成功しません。業界の人たちが展示会を通してビジネスの実を結び、それを確実に手にできれば支持は得られます。逆に、結果が出なければ誰も展示会に参加しようとはしないでしょう。

 もう1つの要因は、中立的かつ国際的であるということです。政治的な要素があるわけではなく、誰に対してもオープンだという点が挙げられます。

――2007年はどんな分野の展示や講演が注目を集めましたか。

 来場者にアンケートを取ったところ、HD DVD、Blu-ray Discという次世代ディスクに対する関心が一番高いという結果が得られました。次いでインターネットを利用した電話サービスであるVoIP、通信ネットワークという順になっています。

 特にVoIPはプライベートでもビジネスでもコストメリットがあることから、人気が高いようです。コミュニケーションコストを下げるという点で、特にビジネス向けに有用だといえますね。

――CeBITは非常に幅広い分野をカバーしていますが、今後はさらに範囲を広げていく予定ですか。

 イエスでもあり、ノーでもあります。新しい技術、新しい考え方を見せていく一方で、古い技術は排除していきます。

 たとえば、モバイルの分野では端末そのものを見せることにあまり意味がなくなっているのではないかと考えています。4カ月ほどで新製品が発表されますが、基本的な機能の進化は終わっているのではないでしょうか。端末そのものを見せるよりも、端末を使った新しいソリューションを見せていくことのほうが重要だと考えています。

 2007年の例では、モトローラはブースの規模を小さくし、端末を使ってどういうことができるかに焦点を当てる形での発表をサービスプロバイダーと一緒にやっていました。

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