UPDATE カリフォルニア州マウンテンビュー発--Googleは米国時間4月30日、Viacomから提起された総額10億ドルの著作権侵害訴訟に対する答弁書を地方裁判所に提出した。その中で同社は、著作権侵害を否定するとともに、同訴訟は人気動画共有サイトYouTubeやほかの同様のサイトの存続可能性を脅かすものだと主張している。
Googleの法律顧問を務めるMichael Kwun氏は、Google本社で行われた記者説明会で、「YouTubeは、エンターテインメント、教育、言論の自由のための世界有数のプラットフォームを提供しているとわれわれは考えている」とし、さらに「この訴訟によって、われわれの気持ちが揺らぐことはない」と付け加えた。
Googleは、ニューヨーク州南部地区地方裁判所に提出した正式な答弁書(PDFファイル)の中で次のように述べている。「Viacomは、通信事業者やホスティングプロバイダーにインターネット通信の責任を負わせようとしているが、それにより、非常に多くの人々が、情報、ニュース、エンターテインメント、さらに政治的、芸術的表現を合法的にやりとりする目的で利用している手段が脅かされている」
今回の訴訟でGoogleの弁護を担当するのは、カリフォルニア州パロアルトに拠点を置くWilson Sonsini Goodrich & Rosati法律事務所と、シカゴに拠点を置くBartlit Beck Herman Palenchar & Scott法律事務所である。Bartlit Beck Herman Palenchar & Scott法律事務所は、2000年の大統領選挙におけるフロリダ州の票の再集計をめぐる訴訟で、Bush大統領が最高裁判所に控訴した際に大統領を代理した。その裁判で、最高裁は、再集計は中止すべきとの判決を下した。この判決により、Al Gore元副大統領ではなくBush氏の当選が確定した。
Googleは、YouTubeを2006年に総額16億5000万ドルの株式交換で買収した。Kwun氏は、YouTubeは1998年に制定されたDMCAの中のホスティングサービスに適用される免責条項(セーフハーバー条項)に基づき、著作権侵害訴訟から保護されると主張する。同条項は、第三者のコンテンツのホスティングを行っているサービスプロバイダーは、あるコンテンツの所有者が自分の著作権を侵害していると主張するマテリアルを迅速に削除すれば法的責任を「免れる」と規定している。
Kwun氏は、「この訴訟には、ある皮肉な話がある。実は、Viacomや他の企業は(中略)DMCAが採択された際にその場に居合わせた。つまり、Viacomらはまさに、DMCAの策定に貢献した張本人なのだ」と述べた上で、「彼らは迅速に(著作権を侵害している)コンテンツを削除させているが、一方で、突然、相手側に我慢できなくなった」と語った。
一方、Viacomは同日、YouTubeはデジタルミレニアム著作権法(DMCA)の保護対象外だとし、さらにYouTubeは著作権侵害について事前に認識しており、海賊版ビデオで利益を上げていると主張した。
Viacomは声明で、「YouTubeが、同社のサイトに著作権を侵害している動画が投稿されている事実を認識し、さらにそれらの動画で利益を上げていることは明らかだ」と述べ、さらに「世界中の情報を体系化することを使命とする会社が、YouTubeの実態を把握できないと主張しても、到底信用できない」と語っている。
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