いしたに×コグレが語る「クチコミのコツ」

鳴海淳義(編集部)2007年04月27日 20時04分

 書評の様子を動画配信、書籍に登場するブログをRSSパックで公開――『ネタフル』のコグレ氏と『みたいもん!』のいしたに氏は、これまでとは一味違ったプロモーション方法で著書『クチコミの技術』のクチコミを仕掛けてきた。

 同書は、クチコミマーケティング集団「ONEDARI BOYS」中心メンバーでもある両氏がこれまでのブロガーとしての活動を振り返りながら、ブログを活用したクチコミマーケティングについて解説するという内容だ。「『クチコミの技術』なんていうタイトルをつけてクチコミが起こらなかったら恥ずかしいから」と、2人はその効用を自著の販促で実証しようとした。

「クチコミの技術」をクチコミする

 まずはオフィシャルブログを開設し、以降、ほとんどの情報発信をこのブログから行った。コグレ氏はブログを「ひとつの窓口としてフラットな立場で意見交換をするための場所」と位置づけており、企業がクチコミマーケティングを行う場合に確実にやっておきたいことだとしている。

 ブログを開設した直後には書籍のPDFを公開。ブログには「PDFのURLは、ご自由に転載していただいてかまいません」と書き添え、トラックバックとコメントで感想や書評を募った。オフィシャルブログは情報発信のツールとしてだけではなく、読者からの情報の受け皿としても機能している。

 さらに何人かのブロガーに献本した際には、その場で書評の様子を撮影し、YouTubeで公開した。書評を動画で? と思うかもしれないが、小飼弾氏の驚異的な速読は動画でなければ伝わらないだろう。この動画はすでに7000回近く再生されている。本の内容に触れている部分は少ないが、インパクトは強かった。そのほかにも合計8本の書評動画を公開し、結果的にネット上でのクチコミを巻き起こした。4月23日現在、Technoratiで検索すると「クチコミの技術」というキーワードを含むブログは752件ヒットする。

 一連の販促活動を行うにあたって特にプランはなかったという。残念ながら、クチコミに方程式はない、とコグレ氏は話す。「逆にテンプレート化、フォーマット化してしまうと、そんなにおもしろいキャンペーンはできない。自分が見る側に回ったら、フォーマットに則ったキャンペーンてやっぱりわかるじゃないですか」。

 「売れるかどうかわからないけどいい本になったよねっていう自信はあったから、やれる手は全部やろう」。そう考えて、YouTubeでの動画配信やRSSパックの提供といった新たな試みにも挑戦してきた。「やることもやらずにクチコミ起きないよねって言うのも馬鹿な話なので」といしたに氏は語る。

炎上を恐れるくらいなら…

 ブログを開設し、できる限りの情報提供を行って読者とのコミュニケーションをとる――あらかじめクチコミの種まきをしたら、あとは反応を待つのみ。クチコミというものはどうやってもコントロールできないからだ。これを操作しようとしたばかりに"炎上"が起きてしまった例も多い。

 「結果がどうなるかわからないのが不安なら、ブログを使ったクチコミマーケティングはやらないほうがいいと思うんですね。もっと言うと、ブログがコントロールできないというより、インターネットがコントロールできない。その部分に可能性を見出せないのであれば、ブログなりインターネットなりを使おうという発想をそもそも考え直した方がいい」(いしたに氏)

 コグレ氏は、商品やサービスに自信がなければブロガーを振り向かせることはできないという。「やっぱりコメント欄が荒れるんじゃないかとか、変なトラックバックが付くんじゃないかとか、そういうことが気になるじゃないですか。でも、もし自社の商品やサービスに自信を持っているのであれば、それらとしっかり向き合って、意見交換や会話をする準備、心構えができる」

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