Microsoftは、同社が提供する現行の仮想化ソフトウェアのアップデートと、その後継となる次世代製品(開発コード名:Viridian)のベータ版のリリースを延期した。
Microsoftの仮想化戦略担当ゼネラルマネージャーであるMike Neil氏は4月12日付けのブログ投稿で、以前に「Windows Server Virtualization」と呼ばれていた仮想化ソフトウェアViridianのパブリックベータ版のリリースは当初予定していた2007年前半から、2007年後半に延期されると述べた。また、2007年3月末に予定されていた現行製品「Virtual Server 2005 R2」の「Service Pack 1」のリリースも今四半期中に延期されている。
しかしMicrosoftは、Viridianの正式リリースと、Viridian搭載予定の次期サーバOS「Longhorn Server」については、リリース時期を変更していない。Longhorn Serverの正式版は、2007年末にコンピュータメーカー向けにリリース予定で、その後180日以内にViridianがリリースされる予定である。
仮想化ソフトウェアを使用すると、単一のコンピュータに同時に複数のOSを、仮想マシンと呼ばれる別々のパーティションで稼働させることが可能となる。これにより管理者は、負荷の低い複数台のマシンを、より効率的に使用される1台のサーバに置き換えることができ、長期的にはより柔軟性の高いコンピューティングインフラストラクチャを構築することができる。
Intelの「Xeon」やAdvanced Micro Devicesの「Opteron」など「x86」プロセッサを用いたメインストリームサーバでは、この技術がよく利用されるようになっており、Microsoftも同市場を主導するVMwareから顧客の奪取を図る複数の競合企業の1つである。
仮想化を実現するには、競合企業が互いに密接に協力する必要があり、時にはそれが気まずい状態を引き起こしてきた。例えば、VMwareはMicrosoftの仮想化ポリシーを公に酷評したことがあるし、Microsoftはオープンソースの競合企業XenSourceと提携して、「Windows」と「Linux」の両方をどちらの仮想化基盤の上でも稼働できるように取り組んでいる。
仮想化ソフトウェアは現在のところ、Linuxの2つの主要な商用版である「Red Hat Enterprise Linux」と、Novellの「SUSE Linux Enterprise Server」に搭載されている。どちらの製品もオープンソースの「Xen」プロジェクトを使用している。
Xenと同様にViridianはハイパーバイザ、つまり、OSとコンピュータのハードウェアの中間層で動作し、両者間の通信をつかさどるソフトウェアである。一方で、Microsoftの現行のソフトウェア「Virtual Server」および「Virtual PC」は、Windows上で稼働する。このモデルではWindowsが、「ゲスト」である仮想マシン上のOSを実行する「ホスト」OSの役割を担う。
現在ベータ版が提供され、2007年4月末までにリリース候補版が提供されるVirtual Server 2005 R2 SP1には、いくつかの重要な新機能が含まれている。新機能としては、IntelやAMDの各最新プロセッサに搭載されている仮想化技術である「Intel Virtualization Technology(VT)」および「AMD-V」との互換性、「Windows Vista」のサポート、物理サーバのスナップショットをとることにより、そこに稼働する仮想マシンのグループを一挙にバックアップ可能とする「Volume Shadow Service」などが挙げられる。
Microsoftのデスクトップ仮想化製品であるVirtual PCは、現在無償である。Neil氏によると、これまでに100万回以上ダウンロードされたという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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