Novellは米国時間7月17日、Linux製品のこれまでの不振を埋め合わせようと、メジャーアップデートを敢行した。エンタープライズサーバ製品には「Xen」仮想化ソフトウェアが追加され、デスクトップ版の方はグラフィックがより派手に変わった。
新版「SUSE Linux Enterprise Server(SLES)10」には、Linuxのメジャー製品としては初めてのハイパーバイザーソフトウェアXenの実装という、大きな変更が施されている。Xenは、複数のOSを同時に実行することで、コンピュータの効率を上げるソフトウェア。
一方、「SUSE Linux Enterprise Desktop(SLED)10」には、「Xgl」と呼ばれるしゃれたグラフィックインターフェースソフトウェアが搭載された。実質的な意義はあまりないが、Novellはこれを重要な要素と見ており、Xglが同社のイノベーションの証になると考えているようだ。
Novellの製品マーケティング担当ディレクターJustin Steinman氏は、「SLEDもSLESも大きな話題を集めるだろう」と、自信をのぞかせている。
Ideas InternationalのアナリストTony Iams氏は、NovellがLinux市場を先導するRed Hatに攻勢をかけるためには、すぐれた技術だけでは不足だと指摘した。「Novellにとって問題なのは、製品の質ではない。マーケティングと戦略の実行が課題なのだ」(Iams氏)
NovellのLinux製品の売り上げは、現時点ではRed Hatの半分以下だ。IDCのアナリストであるAl Gillen氏によると、Linux OS市場におけるRed Hatの売上額は、2004年には全体の66%を占めていたが、2005年に61%へ下落したという。反対に、Novellの同時期の売上額の割合は、21%から29%へ増加している。
しかしNovellは、マシンの大量出荷が特徴であるLinuxの主力市場では、いまだに劣勢を強いられている。「出荷台数に関するマインドシェアを得るという面では、Novellの取り組みは成功していない。これが、同社が抱える問題の1つだ」(Gillen氏)
NovellのSteinman氏は、SLES 10の提供により、マサチューセッツ州ウォルサムに本拠を置く同社のLinux販売業績は好転に向かうと期待している。「われわれは、次世代プラットフォーム市場に一番乗りで参入することになる。デスクトップ用からデータセンター向けまで、幅広いプラットフォームを提供しているのも当社だけだ。今後はマーケティングにいっそうの力を注いでいく予定なので、利用環境もより向上すると考えられる」(Steinman氏)
SLES 10には、ソフトウェアの動作を監視し、セキュリティ上の問題を特定する技術「AppArmor」のオープンソース版が実装された。また、コンピュータの故障時にほかのコンピュータに作業を負担させる高可用性ソフトウェアに対応するため、ストレージ機能も追加されている。だがいちばんの注目点は、やはりXenだ。
新興企業のXenSourceが大手ハードウェアおよびソフトウェア企業の後援を受けて立ち上げたオープンソースプロジェクトXenを、サーバ分野に持ち込んだことこそ、あらゆる点から見て最大の変更と言える。Novellは、当面はSLES 10でのみXenをサポートする意向だ。同OSには、さまざまな仮想マシンの実行、停止、再設定を可能にする「Yast」管理モジュールが搭載されている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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