IBMとテキサス州ヒューストンを拠点とする電力会社CenterPoint Energyは米国時間4月10日、インテリジェントな電力供給網の実現を目指すグループ「Intelligent Utility Network Coalition」を設立したことを発表した。
両社の幹部によると、Intelligent Utility Network Coalitionでは、電力会社が利用者に電力使用に関する詳しい情報を提供できるようにするとともに、電力供給網の信頼性を向上させるための技術のテストを実施するという。
このグループの取り組みを通じてCenterPointは、電力計、スイッチ、変電設備などの装置を改良するため、今後5年にわたりおよそ7億5000万ドルを投資すると、CenterPointのHouston Electric Operations部門プレジデントを務めるGeorgianna Nichols氏は語った。
CenterPointは、リアルタイムの電力使用状況や過負荷となっているポイントなどに関する情報の収集や伝達のために、テキサス州での同社の電力供給地域に電力線ブロードバンド(Broadband over Power Line:BPL)の配備を進めている。
電力の使用状況に関する詳細情報が得られれば、消費者は電力消費のパターンを変えてコストの節減ができるだろうと、CenterPointとIBMの幹部は説明する。電力供給業者の側も、デジタル機器とそれに付随するソフトウェアを使って、利用時間による価格設定などこれまでにないサービスを導入し、電力需要をうまく管理できるようになるという。
「われわれは1年前、他の電力企業と同様に、自動検針について非常に楽観的だった。今回の目標がそれに比べてずっと大きいわけではない。むしろ、電力供給事業にどのような革命が起きるかを論じるべきだろう」と、Nichols氏は言う。「われわれは装置のテストを進めている。これは実現するだろう」
200万の顧客を抱えるCenterPointは、Intelligent Utility Network Coalitionの設立メンバーとなっている。2007年末までに、米国、欧州、アジアの電力会社も同グループに参加するだろうと、CenterPointとIBMの幹部は話している。
Nichols氏によると、CenterPointの電力供給網を完全にデジタル装置に移行させるのに必要なコストは、顧客1人あたり1カ月2.5ドルになるという。CenterPointは現在、料金改定の可能性について規制当局と話し合っている。
IBMは、情報収集のためのソフトウェアのほか、電力使用パターンの測定などに関する分析ツールを提供する予定だ。
いわゆるスマートグリッド(コンピュータ化された電力供給網)を推進しようとする取り組みはすでにいくつか出てきているが、Intelligent Utility Network Coalitionでは装置の配備とテストに注力していくと、両社の幹部は述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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