著作権者団体らが設立したデジタル時代の著作権協議会(CCD)は4月5日、シンポジウム「デジタルコンテンツ流通の課題2007〜権利者と利用者の望むDRM〜」を開催、協議会の最新活動内容などについて報告したほか、望ましい著作権保護(DRM)技術のあり方について議論した。
「権利者と利用者の望むDRM技術」という題で報告したCCDの権利問題研究会主査である久保田裕氏は、4月2日にDRMフリーでの楽曲提供サービスを打ち出したEMIの動きについて「技術的保護手段を弱めるのであれば、法律やルール、教育などの面でバランスのとれたサービスを構築する必要がある」とし、米AppleとEMIが行うサービスはそのバランスがとれていないと指摘した。
久保田氏は、「技術的保護手段」「法律・ルール」「教育」の3点がバランス良く保たれることが、デジタル化とネットワーク化が進む時代において著作権、著作隣接権の保護と公正な利用を促進することにつながると強調。技術的保護手段のみを弱めるサービス展開を疑問視した。
また、研究会がCCD会員(32団体)に向けて実施した「権利保護並びに保護技術に関するアンケート」の中で、DRM技術を実施、または管理運営するためのコストや労力について「不安な点がある」との回答が数多く寄せられたことを紹介。「すでにDRM導入が進み、ビジネスが展開されているからこその不安」(研究会副主査の戸叶司武郎氏)と一定の評価を示し、「不安や不満があるから(AppleやEMIのように)DRMをフリーにする、ということにはならない」とした。
久保田氏は「DRMの役割は変化してきた」と話す。DRMには「不正流通の防止」「不正流通の追跡と発見」「不正流通と不正利用の抑止」といった、権利者へ適切な対価を還元する保護基盤としての役割が基本としてあった。これに加えて、最近では暗号化などコンテンツを安全に流通させる技術や、視聴限度数や期間などを設定する技術が進展したことにより、コンテンツ流通の促進と柔軟な利用形態の実現を可能にしているという。
CCDでは、デジタルネットワークを利用したコンテンツ流通が増加している現状を踏まえ、許諾業務をより効率的に行うために、コンテンツ、権利者、利用者のIDを著作権管理団体の間で共通化することを提案しており、会員を中心に採用が進んでいる。
2007年は、共通化された各種IDをビジネス化するためのツールとして「許諾コード」を提案。これは視聴限度数や期間などを設定するためのもので、サービス提供側の狙いを消費者まで正確に届け、より円滑なコンテンツ流通ビジネスを展開できるようにするという。
具体的には「1ダウンロードで3回まで視聴可能」など、不正流通を防止しつつ流通を促進して、サービスを円滑に提供できるようにする仕組み。コンテンツの保護機能と許諾管理基盤である共通IDを連携させることで、多様なサービスが簡単にできるようになるという。金額条件などを不正に改ざんしても著作権法違反に当たらないなど、現時点では法的な裏づけが完全ではないため、今後は法律面も含めた提案を進めていくとした。
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