そんなわけで、AppleTVは内部で複雑なことをしている(ちなみに、CPUはインテル製でHDDは40Gバイトということだけ公表されている。小さなパソコンだと思えばいい)わりに、操作は驚くほどシンプルでセッティングも簡単。iTunesとiPodを使えている人ならまず問題ないだろう。
もしデジカメの写真をパソコンで管理していて、大画面テレビで家族で見たい、友達を呼んで見せたいと思ったとき、AppleTVは最高のプレイヤーとなる。しかも、テレビはコンシューマ向けに彩度やシャープネスが高いくっきり見えるセッティングになっているので、どうでもいいような何気ない写真もテレビを通すと鮮やかできれいに見えるのだ。東京の空がカリフォルニアの空に見えるくらいだ。
もしパソコン内の音楽をリビングでも聴きたいと思ったら、AppleTVを使えばいい。アップルによると、日本のリビングルームにおいて、もっとも音楽のクオリティが高い装置はテレビであるケースは多いという。確かに、HDMI端子を持つような最近のテレビはそれなりに音質もいいので、けっこう現実的だ。もし編集した映像コンテンツを大画面テレビで見たいと思ったら、AppleTVはとても楽ちんでいい。
AppleTV以上の機能を持つ機器は日本にはたくさんある。HDMIでテレビにつながるパソコンもある。AppleTVはDVDも観られないしテレビの録画もできない。でも、操作が一番シンプルで快適に見たいものをすぐ見られる、という意味ではAppleTVが一番だろう。機能がシンプルな分、低価格で幅広く楽しめるし、反応もビビッドで使っててストレスがないからだ。
iPodが「パソコン内の音楽ライブラリを外に持ちだそう」なら、AppleTVは「パソコン内の映像・音楽ライブラリをテレビで鑑賞しよう」である。もちろん機能面で足りないところや不満もあるが、アップルだからして、アップデートによって機能向上していくことは容易に期待できる。それについては心配してない。
ただし、誰にでも「おすすめ」と言えるわけじゃない。HDMI(最低でもD端子)を持つテレビを持っていること、テレビで楽しむ内的必然性があること(リビングにパソコンがない、2人以上でコンテンツを楽しみたいことがある、大画面でのんびり鑑賞したいなど)がそろっていれば買う価値はあると思う。1つ1つのユーザーインターフェースや演出がよく練れているので、使うこと自体が楽しいはずだ。
でも一番感じたのは、米国と日本の映像配信環境の差。日本ではAppleTVで鑑賞する映像コンテンツを集めるのにそれなりの手間暇がかかるが、米国では簡単にダウンロードで楽しめるのだ。テレビ番組は1回あたり$1.99くらい、映画は$10〜15くらい。日本の感覚でいうと、レンタルより高いけどDVDを買うより安いという感じ。それもダウンロードなので(もちろん著作権保護ははいってる)ストリーミングより高画質で使いやすい。そういう環境があれば、パソコンで落としてAppleTVで観る、という日常が簡単に作れるわけだ。日本でもそうなったら、AppleTVをもっと多くの人に勧められるのに。日本ではどうなっているのやら。
でも同じ映像コンテンツでもパソコン上で見るのとテレビで見るのでは、体験が違う。パソコンとテレビではメディアが違うのだ。だからこそAppleTVの存在に意味はある。
>>テレビにつないで使う据置型ビデオiPod--「Apple TV」(前編)はこちらからCNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
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