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フリッカーの創業者フェイク氏、コミュニティ精神を語る

文:Daniel Terdiman(CNET News.com) 翻訳校正:編集部2007年04月04日 08時00分
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 多くの人にとって、Caterina Fake氏はWeb 2.0時代のヒーローたちの1人だ。Flickrの共同創立者の1人として、彼女はギークたちから一生続くであろうほどの信頼を受けている。

 2005年に、Fake氏と彼女の夫でありFlickrの共同創立者であるStewart Butterfield氏は、このバンクーバー発の新興企業をYahooに売却し、シリコンバレーに引っ越した。写真ホスティングサイトの人気と影響力が続く中、彼らはすぐに新しい環境に馴染んだ。

 Flickrとは対照的に、多くの人はもはやYahooをイノベーターであるとは見ていない。Yahooは自らヒットする技術を構築するのではなく、Flickr、イベント情報サイトのUpcoming.org、ソーシャルブックマーキングサービスのDeliciousやその他の企業の買収に依存しているという人もいる。

 現在Fake氏は、Yahooの技術開発グループのリーダーとして、この技術系大企業の創造性に火を付ける責任を負っている。同社はBrickhouseという新しい内部インキュベーターを立ち上げた。

 3月20日、YahooのFlickr買収2周年記念の発表で、Fake氏はCNETのSecond Lifeの事務所を訪ね、アテンションエコノミー、Yahooのゴール、3D仮想世界の教訓やその他の話題について議論した。

――平日はどのようにお過ごしですか。

 わたくしの甥がわたくしの仕事は何かと尋ねたことがあります。わたくしは電子メールを書いていると答えました。

 これは、人々を繋げ、問題を解き、みなを1つの方向へ動かす仕事をしているという意味です。また、計画を立てたり提案を作ったり、新しいものを発明しようとしたり、いいアイデアを探したりしています。

 わたくしの一日の大半は電子メールとインスタントメッセージングとミーティングで、「現実世界のもの」を作る生活を懐かしく思っています。昔はピクセルを扱っており、これは今よりももう少し現実に近いものでした。それでもまだ現実から離れたものですけれど。

――あなたは以前は小さな組織に属していましたが、今では大企業にいます。そのことによって、個々のゴールを達成するのはどれくらい大変になりましたか。

 運のいいことに、わたくしの仕事の大部分は大企業の中にいながら、新興企業で起きるようなことを、実際に起こるようにすることです。Yahoo以前にはわたくしは主に従業員が150人未満の会社で働いていました。わたくしは新興企業らしさを持っています。新興企業では、小さなチームや素早い開発はあたりまえだと考えられています。

 Yahooでは、わたくしは技術開発グループに参加しました。新しい製品やイノベーション、文化、素早い開発を担当するところです。それがわれわれの役割でした。そして、その部署の責任者であるJeff Weinerは「Yahooで次のFlickrを作るにはどうしたらいい?」と聞いてきました。わたくしは笑って言いました。「無理よ。ここでは絶対に起こらない」

 それでも、彼はわたくしにこの問題を解く役を命じました。大企業には非常に多くの素晴らしいアイデアがあり、イノベーションの不足はありません。ただ、ものを作る障害になるのは、ほとんどの場合そのプロセスなのです。Yahoo Mailのような大規模な製品を作り、維持するために開発されたプロセスは1種類しかありません。そしてそのような開発プロセスは、新しい製品を短期間で作る場合のものとは全く異なっています。

 わたくしの最近のプロジェクトであるBrickhouseはプロセスのイノベーションであり、製品を素早く作る手法であり、リスクテイクを促進する手法です。

――Brickhouseというのは正確には何なのですか。

 新しい製品を素早く開発する環境です。われわれは最初の製品であるPipes(インタラクティブフィードアグリゲータ)を発表したところです。Brickhouseはアイデアとプロトタイプとハックの全てを製品に詰め込む手法です。わたくしがYahooに来てから取り組んで来たのは、組織面とプロセス面でのイノベーションです。

――官僚主義で動きが鈍ることはありませんか。

 あります。2億のメールクライアントを持っていて、構造と信頼性と動作時間の保証と信頼性が求められれば、そうなります。こういうことは、素早い立ち上げやリスクを取ること、失敗を受け入れることとは違うことです。官僚主義には目的があって、それは電車を時間通りに動かすことです。しかし、小さなチームで作り、素早く何度も立ち上げることは、バグを始めとして前提が大きく異なっています。

――Yahooのような大企業では、着実な電車の運行のようなアプローチと、融通の利く新興企業的なチームのアプローチの両方のアプローチが必要とされるのですか。これが、あなたが言う技術系の大企業が従うべきモデルだということでしょうか。

 その通りです。超大型タンカーと高速モーターボートの両方が必要です。

――わたしはちょうどテキサスはオースチンで開催されているイベントSouth by Southwestにいたのですが、みんながアテンションエコノミーについて話していました。これはあなたにとってはどういう意味がありますか。これが重要なのは、なぜですか。

 工業化された国でもっとも希少で価値が高い資源は人々の時間とアテンション(注意・注目)だというのは、面白い考え方だと思います。

 より計算可能な、あるいは記録可能なアテンションを作ろうという試みはありました。例えばAttention TrustやAttention.xmlのような、人々が自分のアテンションを「所有」できるようにしようというものです。Amazonで大量の本を注文したり、それらの本をブラウズしたり、レビューをしたりすると、Amazonが「お勧め」を作れるようになります。それはわたくしが、例えば誰かに対して、どのトースターを買えばいいか判断するのを助けたということになるわけです。さて、このアテンションをどこにでも持って行ける、つまりAmazonでのアテンションデータをeBayにも持って行けるようになったとしましょう。すると、これを自分の目的に利用して欲しいものを探したり、そこで他の人を助けたりできるわけです。

 アテンションは人気があります。人々はアテンションを多くの違う理由で共有します。他の人たちとの繋がり、コミュニケーション、利他主義、自分のアイデアの普及、美学、などなど。多くの参加型メディアは、見ることや見られることなど、要するに人からアテンションを得るということに尽きます。

――つまり、アテンションについてのビジネスモデルを構築することはいいことだと考えておられるわけですか。

 わたしは、自分が「寛容さの文化」と呼んでいるものを強く信じています。わたしはウェブやインターネット上では人々がいつも何かを作り、創造し、共有するということがよく見られると思っています。それこそが、わたくしがウェブを好きな理由です。それはエッセイであったり、好きなバンドのディスコグラフィーであったり、Second Lifeで友達と出かけられる小さな場所だったりします。インターネットは何百万もの人が貢献して作り出されている素晴らしい場所なのです。

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