テキサス州オースティン発--その規模と熱狂振りの大きさを多くの人が語ったSouth by Southwest(SXSW)Interactiveカンファレンスだが、変わらなかったことを誰もが喜んでいるように見えたことが1つだけあった。それは、SF作家のBruce Sterling氏が閉会の言葉を述べたことだ。
およそ45分間のスピーチの間、Sterling氏はWeb 2.0技術に関する疑問点から、海外で米国および米国民がどのように見られているか、さらに、現在同氏が住んでいるセルビア・モンテネグロの都市ベオグラードの政治問題や日常生活にいたるまで、多くの問題に言及した。
Sterling氏のスピーチは全般的に反抗的かつ叙情的で、同氏のスタイルを貫いていた。それは、現代技術への賛歌であり、また、今の世の中、その気になればどこででも生きられるにも関わらず、1カ所に留まっているように見え、それでいて住所が必要な手紙の代わりに電子メールやインスタントメッセージに頼りがちな現代の人々の生き方への賛歌でもあった。
また同氏は、South by Southwestカンファレンスで称賛された多くの技術の独創性を高く評価した。
Sterling氏は「今年はWeb 2.0の年だ」と述べ、さらに次のように続けた。「今は、ブラウザが発明されて以来、最も発明が盛んな時期だ・・・Flickrは他製品のコピーではないし、商品を盗むヒッピーでもない。Wikipediaは別の物のコピーではない。ネットコミュニティはもはやGates氏の威光にすがりついてはいない」
しかし、Sterling氏は米国の政情や国政に対し明らかに不満を抱いている。同氏は、Bush政権や他の権力者が想像力に乏しい政策によって技術革新を阻害していることにも不満だ。これらの同氏の発言に、聴衆の大半が賛同した。聴衆の多くは、サンフランシスコ湾岸地区かオースティン在住者だ。オースティンはテキサス州にある数少ない自由主義者居住地域の1つだ。
「ワシントンの政治家らは、物事の構築の仕方を忘れてしまった。これではまるでソ連のようだ」とSterling氏は非難した。
Sterling氏は、現在夫人と暮らしているベオグラードの社会について詳細に語った。同氏は夫人について「男女同権主義者で、平和運動家で、反体制派のセルビア人」と語った。同氏はさらに、セルビア人社会はアメリカ人社会以上に多くの問題を抱えており、同社会の活力の主な源は、長年の戦争で鍛えられた作家、哲学者、その他の社会思想家たちの力だと説明した。
「私が東欧の反体制派の群衆と過ごす中で何かを学んだとすれば、それは『不安や恐怖心から何かを決断してはならない』ということだ」(Sterling氏)
その言葉は聴衆の喝采を浴びた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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