SXSWイベントレポート--若者とオンラインの関係を考える - (page 2)

文:Sean Ammirati 翻訳校正:吉井美有2007年03月27日 08時00分

若者はオンラインの活動から何を得ているのか

 パネリストの意見は、メディアは確かに変化しており、Boyd氏が示したメディアの4つの特徴は新しい意味を持っている一方、若者がオンライン上での経験から得られるものはこれまでと比べて新しいものでも異なるものでもないという点で一致した。

 Goodstein氏は、今の若者はわれわれが育ったときと同じことをただオンラインでやっているのだと話し、多くの人の興味を引いた。また、若者はオンラインで活動することが多いが、研究によると彼らが最も価値を見出しているのは、オンラインで調べ物ができることだということを彼女は指摘した。この話題から、Forte氏がどのように高校へのwikiの導入を助けているかという話につながった。その活動の中で、彼女はいかに教師がwikiを恐れているかに気づいたという。これが、公的な学校や図書館で社会的な交流を行うサイトへのアクセスを禁ずる恐れがある、児童オンライン保護法(Children's Online Protection Act:COPA)の危険に関する話題につながった。

実際に若者がオンラインでどのような危険に直面しているのか

 ここがパネルで一番面白かった部分だろう。Danahは、自分がどのようにして、誰がよそ者かをよく理解して、よそ者には話しかけないようにすることを覚えたかを話した。しかし、誰がよそ者と判断されるかは完全に文脈に依存する。例えば、初めて学校に行った日に会うほかの子供たちは、よそ者ではない。彼女は、研究で接している若者のほとんどは、オンラインで誰がよそ者かについて似たような理解を持っていると感じている。

 難しいのは、若者が一般的な問題を持っているときだ。「見えない聴衆」のせいで、難しい時期にある若者はさらに傷つきやすくなる。彼女は、これをよい方向に活用する必要があると感じている。例えば彼女は、「もしMySpaceをモニタリングしているオンラインソーシャルワーカーがいればどうだろう」と会場に問いかけた。

 Danahはまた、若者はわれわれにオンラインの協調作業での振る舞いについて多くのことを教えてくれると指摘した。たとえば、なぜ若者はMySpaceの他の人へのコメントで盛り上がるのか。彼女の調査によれば、彼らは他の電子的な対話(例えばIM)は変質してしまうことを知っているという。MySpaceでは、記録を正しく保つために一連の電子的な足あと(歩く道すじにパンくずを落としていくような記録)が残されている。若者はこれを本能的に知っていて、会話にも多く参加している。われわれは、よく聞いてこれまでの話を入れ込むことができるのだ。

社会、技術面、設計面での解決策

 この問題は、パネルの中でも最も議論を呼んだ部分だ。われわれは何らかの形の「サイバー倫理」を構築するべきだろうか。そこでわれわれが扱いたいトピックは、オンラインで起こるカンニングや盗用、いじめなどの問題だろう。何人かのパネリストは、そうした倫理を構築して教育を始めるべきだという意見だったが、他のパネリストはこれを別のトピックとして分離するのはよくないと感じており、よく聞いて学び、一般的なものとして教えるべきだとした。また、パネリストの1人は、これは学校だけの問題ではなく、両親や他の指導者たちも関与するべきであることを鋭く指摘した。この意見は非常に歓迎された。

 また、パネルは技術だけですべての問題は解決しないということでは意見が一致していたが、技術的ソリューションについての教育が重要だという意見もあった。例えば、盗用については問題が多いが、今では教師が不正な流用を見分けるための補助ツールもある。

まとめ

 SXSWで多くの人が対話に参加しているのを見るのはよい経験だった。教師の挙手が求められた際に、多くの人の手が挙がったのにも感心した(おそらく聴衆の1割ほどが教職に就く人たちだった)。この分野はまだ課題も可能性も大きいが、今回の参加者は、ここで扱われたトピックについて話し合う際に、影響力のあるウェブリーダーたちのグループだった。

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