首都圏情報ベンチャーフォーラム(事務局・財団法人デジタルコンテンツ協会)と経済産業省および総務省は3月22日、都内で次世代を担うベンチャーに関するセミナー「BEAT Forum 2007-Spring-」を開催した。「技術」「人材」「海外」をテーマに選び、各方面から著名人を招き議論。今後のベンチャー市場活性化における条件を探った。
主題は「次代を担うベンチャーの条件とは?〜技術×人材×海外」。ベンチャー市場の活性化支援を目的とする団体「Venture BEAT Project」が中心となり、3つのテーマごとにパネルディスカッションを企画した。
「技術」「人材」「海外」をテーマとして選んだのは、テクノロジー系分野においてベンチャー企業が継続的な成長を遂げるには、現時点でこの3つが欠かせない重点事項であると考えられるためだ。
技術を軸に起業するテクノロジー系ベンチャーにおいては、技術としてはいい技術であっても、それが商売に結び付かなければ意味がない。また、いかに優秀な人材を確保し続けるのかという問題も、すべての企業にとって恒久的なテーマだ。さらに、「そこそこ稼げて居心地のいい国内市場」(経済同友会代表幹事の北城絡太郎氏)から海外市場に目を向けることも、グローバル化が進む経済圏で国内企業が優位に立つという観点から考えると、次世代の一端を担うベンチャーにとって忘れてはならないテーマとなる。
技術のセッションではミドルウェアの開発・販売を行うコミュニティーエンジンのCEOである中嶋謙互氏、アニメ制作支援ツール事業などを展開するセルシス社長の野崎慎也氏、ケータイ向けミドルウェアを開発するモルフォ社長の平賀督基氏を招き、「テクノロジーベンチャーの経営戦略を極める」をテーマに議論した。モデレーターは三菱UFJリサーチ&コンサルティングで情報・産業研究部の渡辺洋行氏が務めた。
コミュニティーエンジンは中嶋氏が国内でいち早くオンラインゲームの制作を手がけてきた関係上、黎明期の国内オンラインゲームに携わる人たちの間で有名な存在だった。その経験と知名度を生かし、大手ゲームメーカーの支持を得たことが、企業成長の原点となった。
セルシスは画像制作ソフトの技術で「人のやっていることはやらない」という考え方を軸に、アニメーション制作現場のIT化支援ソフトを提案。現場の声を地道に拾いながら、国内のアニメ制作支援ツールで90%程度のシェアを持つ規模へと成長した。
モルフォは大学発ベンチャーとして、技術に強い平賀氏と経営に長けた共同経営者で構成される経営陣だったことや、ベンチャーキャピタルおよび大学の支援を受けられたことなどを要因に成長してきた。その過程で重要だったのは、核となる技術力を信じる一方、需要との接点で生まれるサービスを的確に絞り込めたことだった。
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