チゼンCEO、アドビのオンライン戦略を語る - (page 3)

文:Mike Ricciuti(CNET News.com) 翻訳校正:編集部 2007年03月14日 08時00分

 もう1つの例は、住宅ローンアプリケーションです。そもそも、多くの人はこれをオンラインでやろうとしません。銀行が必要とするのはPDFの要件でしょうが、ユーザーは申込用紙を書くのにもっと魅力的な経験をしたいと思うでしょう。おそらく、利息がいくらのときに、どのくらい払うことになるのか、リアルタイムで図示してくれるようなものを欲しいと思うはずです。これらはすべて、Fidelity(Home Mortgage)やWells Fargoが提供しているアプリケーションで、オフラインで行うことができます。この新しいプラットフォームで、どれだけの多くのものが作れるか、われわれにもわかりません。(Apolloは)クロスプラットフォームなので、Mac、Windows、Linuxそして究極的にはPC以外でも実行でき、作り手は一度だけアプリケーションを作ればよく、HTML、PDF、SWFなどの技術も活用できます。Apolloは3つのファイルフォーマット全てを扱え、その全てでも、そのうち1つでも使えます。

--これはモバイル向けとしても使える技術でしょうか。

 いずれ、モバイル技術としても使えるようになります。制約の理由の一部は、デバイスの持つ限界です。Flash Liteを使ってApolloかそのサブセットをモバイルデバイスで表示させる能力を持たせたいと考えています。まずは、MacとWindowsがサポートされ、それからLinuxです。

--Adobeはこれをどう収入につなげるのですか。

 いくつかの方法があります。第1はツールの提供です。FlexやFlashのアプリケーションは、簡単にApolloアプリケーションにすることができます。ですから、FlashのオーサリングツールやFlexのデータサービス、PhotoshopやIllustratorなどの昔からのツールをより多く売ることができます。2つ目の方法は、Apolloアプリケーションとなるアプリケーションを作ることができます。例えば、今取り組んでいるDigital Editionsプロジェクトでは、電子ブックリーダーがいずれApollo上に作られます。われわれはVideo Remixという製品を発表したところですが、これはいずれApolloアプリケーションになります。これは現在はFlex/Flashアプリケーションです。

 しかし、これがApolloではいけない理由はありません。Apolloを使えば、動画の編集をオフラインのデスクトップ上で行うことができます。われわれは、Philoと呼ばれるFlash動画プレイヤーのデモをしました。われわれが作れる3つのアプリケーションの例を挙げましたが、これは、PDFのためのAcrobat Readerを作り、PDFとAcrobat Reader関係の企業向け製品として、LiveCycleを用意したのと同じです。このように、われわれは、Apolloの利点を生かしていく予定です。

--Apolloはデスクトップの持つ利点を全て持っているということですが、どこまで内部的に使うつもりなのですか。

 最終的には、ハイブリッドなアプリケーションになります。ホストベースのアプリケーションが持つ大きな課題は、PCの能力がブロードバンド接続越しに得られる経験をはるかに上回るということです。したがって、現在でいう画像を編集する際のPhotoshopのような重いアプリケーションを使う場合、ウェブ越しに画像を編集するというようなことはやりたくないはずなのです。ぞっとするような結果になるでしょう。しかし、例えばカラーコラボレーションなど、Photoshopを使ってウェブ越しにやれそうな機能などもあり、そういったことの一部あるいは全部をいずれApolloアプリケーションにすることはできるでしょう。このように、Apolloを既存のアプリケーションの補助として使ったり、あるいはPhotoshop Elementsのようなあまり重くないアプリケーションを完全にApolloに切り替える可能性はあります。このような形で、Apolloから収益を上げることを考えています。

 これは、PDFとFlashを拡張していく方法として優れています。開発者とコンテンツクリエイターにとっては、進化であり、ユーザーにとっては、その経験は革命的です。これは正しいことだと考えています。開発者は、仕事に革命的なものは望んでいません。多くの意味で、これはMicrosoftがWindows Presentation FrameworkとExpressionツールに起こっていることです。ユーザーにとっても素晴らしい経験が得られるのですが、コンテンツクリエイターの仕事も大きいのです。われわれは、既存のツールを使ってもらっても、ユーザーにはクロスプラットフォームで革命的な経験を与えられる、と言っています。

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