ウェブがパッケージソフトウェアのビジネスを揺るがしているという証拠が欲しいなら、Bruce Chizenと話すといい。
Chizen氏が最高経営責任者(CEO)を務めるAdobe Systemsは、パーソナルコンピュータが台頭した頃に、この世界を手中に収め、人々がデジタル出版や写真編集などを行うのを支援してきた。
Chizen氏によれば、現在、Adobeはウェブから配信されるサービスを製品ラインに加えることを検討しているという。Adobeはすでにオンライン版のビデオ編集ソフトの開発を終えており、画像編集ソフトであるPhotoshopのオンライン版を開発中だとChizen氏は言う。また、新しいクライアント開発戦略であるApolloも2007年後半に向けて開発中だ。
Chizen氏によると、Adobeは新製品を開発する過程で、Photoshop、Premiereやその他のアプリケーションで培ったマルチメディアオーサリングのスキルと、Macromediaが持つウェブデザインと開発のスキルを組み合わせようとしているという。ウェブベースのアプリケーションがより機能的になるにつれ、Adobeが、Flashやウェブ開発ツールを作るMacromediaを買収したことは高く評価されるようになっているように思える。MicrosoftがAdobeに競合製品をぶつけてき続けているのを考えれば、なおのことである。
本インタビューでは、Chizen氏はCNET News.comに対して、Adobeのオンライン戦略や、Photoshopについての計画を明かし、Microsoftとどう共存していくかを語った。
1つ変わったことは、ローエンド市場における期待という意味での水準が上がっていることです。YouTubeの視聴者は、誰もが動画を届ける側になりたいと思い、誰もが創造的になりたいと思っています。このため、わが社はいくつかのことをしようとしているところであり、例えばちょうどPhotoBucketとRemixの発表をしたところです。わが社はそこに顧客がいることを認識しており、彼らは必ずしも直接われわれに支払いをしないということも認識しています。広告収入モデルを使うことができます。Googleはある種のアプリケーションについては、これがうまくいくことを示しました。そして、それがわれわれがRemixでやろうとしていることの1つです。おそらく、画像編集ソフトでもそうすることになるでしょう。わが社は、直接の代金を支払ってくれるわけではない顧客にも、リーチする方法を考えています。
これは(Adobeにとっては)新しいことです。この件についてわれわれは敏感になっています。われわれは、Googleのような存在が違うカテゴリーで同じことをやっているのを見ています。自分たちの領域に彼らが進出してくる前に、自分たちが確実にそこにいるようにしたいと考えています。われわれにはそれをやるための技術があります。たとえば、PremiereチームとPremiere Elementsチームの動画編集の専門知識とFlex/Flashプログラミングフレームワークを組み合わせることが考えられます。これはビデオ編集ソフトのRemixを非常にすばやく、Macromediaなしでは不可能だった速さで開発できたことを意味します。
その通りです。しかし、もしわれわれがウェブベースのPhotoshopを提供し、それがPhotoshopのブランドで、Picasaよりも品質が潜在的によければ、おそらくユーザーはPhotoshopを選ぶでしょう。Photoshopのブランドと、ブランドの品質に対する信用がありますから。これは明らかにわれわれがやるべきことです。
動画に先に取り組んだのは、動画については(Remixのようなものは)Jumpcut以外には市場に出回っていなかったからです。これなら、自分たちでやってしまおうと思いました。
自社のみでも可能でした。しかし、配信チャネルを持つのはいいことです。これはPhotobucketだけに限定されているわけではありません。他のソーシャルサイトやコンテンツプロバイダーとも同じことができない理由はありません。動画コンテンツビジネス業界にいる身に置く人なら、ユーザーにビデオ編集をさせたいと思って当然です。Adobeから直接サービスを提供することもできますが、直接提供するということは、広告の収集やトランザクションの扱いなどの技術的な運用など、ホストベースで行う事業の全ての側面を扱わなくてはならないことを意味します。これは大変です。
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