Microsoftは現地時間3月8日、欧州の独禁法規制当局との訴訟後の措置として取られたプロトコル技術プログラムで初のライセンス契約をQuest Softwareと交わしたと発表した。
欧州委員会が2004年3月に下した歴史的な命令に端を発する同プログラムは、自社のプロトコル技術を「適切かつ差別のない」条件で他社にライセンスすることをMicrosoftに要求している。このプログラムの狙いは、Microsoftのライバル各社も含むすべてのライセンシーが、同社の技術と相互運用性のあるサーバベース製品を開発できるようにすることである。
このタイミングでのQuestへのライセンス提供は、Microsoftにとって重要である。欧州委員会は先週の終わりに正式な異議声明を出し、同社のライセンス料が高すぎることを懸念し、3月に追罰の可能性があるとしてMicrosoftに警告していた。Microsoftは、約4週間以内に欧州委員会の異議声明に返答しなくてはならない。
アプリケーションやデータベース、Windows管理ソフトウェアを開発するQuestは、「Microsoft Work Group Server Protocol Program」(WSPP)へ参加することになる。
Questは、Microsoft WSPPライセンスを通じてサーバ版Windowsに実装された通信プロトコルとやり取りができるようになる。
これらのプロトコルは各種Windowsワークグループサーバで利用されており、Windowsネットワークにユーザー/グループ管理サービスを提供している。グループ管理サービスには、「Active Directory」「Windows Domain Controller」「Group Policy」などの各種サービスが含まれる。
Questでは特に、UNIX、Linux、およびJavaの認証システムとMicrosoftのActive Directoryを統合可能にするソフトウェアの開発にこれらのプロトコルを利用する計画だ。
Questの社長であるDoug Garn氏は声明の中で、「多種多様な技術や余分なプロセスのサポートおよび保守の必要がない、顧客のための真の相互運用が可能なソリューションの実装に向け、Questがこれまでになく良いポジションに立てるようになったはこの契約のおかげだ」と述べた。
Microsoftは米国でもプロトコルライセンスプログラムを展開しており、こちらには27社のライセンシーがいる。しかし、米国の独禁法監視当局もこのプログラムを問題視している。
米国時間7日にリリースされたMicrosoftと米司法省による共同現状報告書によると、米司法省は、Microsoftがライセンシー向け技術資料の改訂期限に遅れる可能性があることに強い懸念を表明しているという。
この問題は、13日にMicrosoftと米司法省が行う定例状況報告会で取り上げられる可能性が高い。
またこのQuestとMicrosoftによるライセンス契約が、ワークグループサーバ市場の利益になることを疑問視する声もある。
Microsoftと競合するSun Microsystems、Red Hat、およびOracleなどで構成されるEuropean Committee for Interoperable Systems(ECIS)は、Questの発表を「ごまかしにすぎない」と評した。
ECISの指摘によると、Questはワークグループサーバも含め、Microsoftと競合する製品は開発してないという。ECISによると、Questの技術はMicrosoftのWindows製品と競合するというより、むしろこれらを補完するものだという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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