XenSourceのCTO、Simon Crosby氏は「Xenがカーネルに採用されることは今後もないだろう。Xenはカーネルコンポーネントではないからだ。しかし、Xenとカーネルの間のインターフェースであるparavirt-opsは、カーネルに入るはずだ」と述べている。さらにCrosby氏は、今後リリースされるカーネル2.6.21には、このコンポーネントが初めて組み込まれる予定だと語った。
「Xenの場合、ちょっと試してみるというのは難しい」としてKVMのアイデアのよさを認めるCrosby氏だが、登場が遅かったと考えている。
ホストベース型でスタートしたVMwareは、今では純粋なハイパーバイザ型へと方向転換した。これは好ましい方向への進化だとCrosby氏は主張する。仮想マシンは、新しいソフトウェアを安全なパーティションでテストしたい開発者にとって便利だが、ハイパーバイザ方式のほうが性能が高いうえ、セキュリティ上も有利で、複数の仮想マシンからの競合する要求も、より効率的にさばけるという。
ハイパーバイザ方式への進化が望ましいという点では、VMwareも同様の考えだ。同社のESX Serverは同社のインフラストラクチャ仮想化ソフトウェアの基盤を担うハイエンド製品だが、これにはハイパーバイザ方式が使われている。インフラストラクチャ仮想化ソフトウェアは、仮想マシンを実行するサーバ群をモニターし、あらかじめ設定したルールにしたがって仕事を振り分ける機能を持つ。
VMwareで製品とソリューションのマーケティングを担当するバイスプレジデント、Raghu Raghuram氏は「ホストベース型のアーキテクチャも素晴らしい働きをするが、われわれが仮想インフラストラクチャと呼ぶものは実現できない。これを実現するには、ハイパーバイザ向けに別個のレイヤが必要だ」と話す。ただし、KVMにも成長の余地があり、有用だと、Raghuram氏は付け加えた。
一方、Microsoftでは、現行技術の「Virtual Server」ではハイパーバイザ方式を採用していないものの、次世代仮想化技術のViridianでは同方式を基盤にしている。Viridianは、次期バージョンのWindows Server「Longhorn」(開発コード名)向けサービスパックとして、2008年に登場するとみられる。Longhornは現行のWindows Serverのアップデート版で、2007年終わりに発売される予定だ。Microsoftは仮想化では競合するVMwareとXenに後れをとっており、そのためLinuxはこの分野でやや有利な立場にある。こうした競争圧力にさらされたMicrosoftはXenSourceと提携し、Xenに対応したLinuxをViridianで稼働できるように手を打った。
Crosby氏は、XenはKVMよりも成熟しており「まだ完全ではないが、VMwareに対抗できる製品を作る作業について言えば、その大部分は完了した」と主張している。また同氏は、KVMはXenの3年前の状態と比較しても完成度が低いと話す。
Novellで「SUSE Linux」のプロダクトマネージメント担当バイスプレジデントを務めるHolger Dyroff氏は、KVMの成熟には1年から2年かかるだろうとみている。Dyroff氏がKVMに望むのは、64ビット仮想マシンへの対応と、マルチプロセッサおよびマルチコアの仮想マシンへの対応だという。
しかし、QumranetのKivity氏のもとにある、開発中の改善リストには、マルチプロセッサのゲストOSへの対応や、実行中の仮想マシンを物理サーバ間で移動するライブマイグレーション機能などが盛り込まれているという。「ライブマイグレーションはあと数日のうちに実行可能になるだろう」とKivity氏は語る。
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