子供たちに人気のハリー・ポッターシリーズの著者として知られるJ.K. Rowling氏が、オンラインオークション大手eBayのインド版サイトで不正にコピーされたハリー・ポッターシリーズの電子ブックが販売されているとして、eBayと出品者らに対する差し止め命令を求めている裁判で、インドの高等裁判所がある命令を承認した。しかし、その内容は解釈次第で、eBay自体に対する仮差し止め命令ともそうでないとも取れる。
Rowling氏とハリー・ポッターの映画を製作しているWarner Bros.は2004年に、Baazee.com(現在のeBay Indiaの旧名および旧ドメイン名)に不正にコピーされたハリー・ポッターシリーズの電子ブックが出品されているとして、インドの裁判所に出品者数名とeBayを提訴した。
それに対し、その裁判でeBay側の首席弁護士を務めたA.S. Chandhiok氏はデリー高等裁判所に(請求棄却の)申し立てを行った。その結果、2004年11月16日、同裁判所のMukul Mudgal判事はRowling氏の最初の差し止め請求を棄却した。Chandhiok氏は、eBayは問題の出品者、彼らが出していた電子ブックの広告、さらに違法電子ブックの出品リストをBaazee.comサイトから自主的に削除する意向であり、差し止めを行う必要はないと主張した。
そして2007年1月24日に、デリー高等裁判所のA.K. Sikri判事がある命令を承認した。この命令は、同判事の言葉の解釈によっては、eBay側の自主的措置を「裁判が結審するまで続く絶対的義務」としているようにも取れる。5月28日に予定されている次回の審問では、この裁判の原告側証人の反対尋問が行われる予定だ。
eBayは、同社が裁判所文書に書かれている「5番目の被告」であることを認めた。しかし、eBayの広報担当を務めるNichola Sharpe氏は電子メールの中で、1月に下された命令の文言は、eBayに対する直接の差し止め命令ではなく、eBayが自ら積極的に不正な出品者や、彼らの出品リストや広告をeBayのインド版サイトから削除したことから差し止めは必要ないということを確認するものだと語った。
しかし、この裁判で現地の原告側弁護士を務めるAkash Chittranshi氏と、Christopher LittleでRowling氏のエージェントを担当するNeil Blair氏は別の見方をしている。彼らは、裁判所はこの件の詳細に関する複数回の審問を重ねた結果、差し止め命令は必要ないとした前回の判断を改め、2007年1月24日にeBayと出品者に対する差し止め命令を下したのだと主張している。
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