「デジタル時代に生き残ることはできるのか」--コミックの未来を考える

文:Caroline McCarthy(CNET News.com) 翻訳校正:藤原聡美、大熊あつ子、長谷睦2007年02月27日 20時36分

 マンハッタンのジャコブジャビッツコンベンションセンターで米国時間の2月23日から25日にかけて開催された「New York Comic Con」には、従来のコミックに代わる、新しいメディアを用いたさまざまなコミックが登場した。コミックサイトの「GoComics」が提供するモバイル向けコンテンツや、コミック界の老舗、Marvelの懐かしいシリーズ作品を集めたDVD、そして数々のビデオゲームなど、展示品は盛りだくさんだ。高解像度のディスプレイが設置され、サラウンド・サウンドの効果音が飛び交う会場では、保護用のプラスチックスリーブに入れられた何箱分ものコミック本は(おそらくはこちらがこの見本市の中心なのだろうが)、いくぶん古めかしく、浮いて見えた。

 会場の様子を見ていると、ある疑問が頭に浮かんだ--若者向けの娯楽の選択肢が、ほかにいくらでもあるこの時代に、コミックをコレクションし、読むという習慣が、これからも続く見込みはあるのだろうか。

 結局のところ、コミック業界はもう成熟しきった業界だ。昔ながらのコミック本や関連グッズを求めてNew York Comic Conに詰めかけた人々は、どう見ても大人ばかりだった。展示されていたMarvel Enterprisesのスーパーヒーローのフィギュアを、うっとりとしたまなざしで見つめる30代の男性2人に話を聞いてみた。興味をもったものを尋ねたところ、「小さなものだね」と片方の男性は答えた。「2人とも、もう子供がいるから」とのことだ。しかし、Comic Conを訪れた18歳未満(ひょっとすると25歳未満も含まれるかもしれない)の層の大部分は、ほかのところに興味を感じていた。

 「(コミックを愛する)世代は失われてしまった」と、ニューヨークに拠点を置くコミックの販売業者、Metropolis CollectiblesでCOO(最高業務責任者)を務めるVincent Zurzolo氏は言う。「今の若者が好むのは、ビデオゲームだ」という。

 子供たちがコミックを嫌いになったわけではない。ビデオゲームや「Magic: The Gathering」のような戦略色の強いトレーディングカードゲームだけでなく、グラフィックノベルや日本生まれの「マンガ」は、子供たちの間で人気を博している。そうした作品には、まったくのオリジナルもあれば、他のジャンルの娯楽作品とタイアップしているものもある。米国で今春公開予定のホラー映画「The Hills Have Eyes 2」から人気歌手Avril Lavigneを主人公にした冒険物(嘘だと思うかもしれないが、本当に発売されている)まで、タイアップはありとあらゆるジャンルに及ぶ。

 これほどたくさんのメディアから何でも好きに選べることを考えると、1980〜2000年生まれの、いわゆる「IMジェネレーション」が、コミックをコレクションする品というよりも、消耗品の1つとしてとらえるのも特に不思議はない。

 SF物やコミックのコンテンツ開発を独自に手がけるSteve Saffel氏は、「(コミック愛好家は)今や、メディアの至る所に拡散している」と語る。Saffel氏がNew York Comic Conの会場に来ていたのは、ノースカロライナ州シャーロットでコミック専門店「Heroes Aren't Hard To Find」を営む友人たちを手伝うためだった。

 「今の若い読者はインターネット上で、ビデオゲームをしたり、映画を見たり、漫画や本を読んだりする。だから、読者がいるところにコンテンツを届けることが鍵になる」とSaffel氏は言う。

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