ワシントン発--米最高裁判所判事らは米国時間2月21日、MicrosoftとAT&Tが繰り広げる複雑な論争に決然と立ち向かい、これまでの特許法の解釈に懐疑的な発言をした。米国のソフトウェアベンダー各社は、これまでの解釈は自分たちを国際的に不利な立場に追い込むと主張している。
米国内法には、米国の特許を侵害する機器を製造可能な外国メーカーに米国企業がその組み立てを可能にする米国製「コンポーネント」を輸出することを禁じる部分がある。この裁判では、この部分で意見が衝突している。そこでは、全く同じ製品が生み出される可能性もある設計プランの共有までは禁じていない。
米国のソフトウェア業界は、Microsoftに不利な判決が出た場合に、国際企業各社との特許侵害訴訟で立場が弱まり、研究は海外で行う方が魅力的になるような事態を懸念している。一方のAT&Tは、ソフトウェアベンダーはそもそも侵害の有無だけ心配していれば良いとしている。
Microsoftでは、複製と個々のマシンへのインストール用途に、ソフトウェアのコードを収めた「ゴールデンマスターディスク」を外国メーカーに提供している。1時間に及ぶ口頭弁論では、複数の判事が米国司法省の元司法次官でAT&Tの代理人を務めるSeth Waxman弁護士に対し、この出荷時にMicrosoftが設計図以上の内容を提供している理由についての説明を求めた。
David Souter判事はWaxman弁護士に対し、「熟練工が設計図通りの仕事をするように、欧州のマシンは指示通りに動いている。どこが違うのか?」と尋ねた。
マスターディスクが命令セット以上の内容であることに「疑問の余地はない」と、Waxman弁護士は繰り返し主張した。同氏は、これはあらゆるコンピュータシステムの「ハードディスクと継続的にやりとりを行う」非常に重要なコンポーネントであり、デジタル会話コーディング技術に関するAT&Tの特許を侵害している、と主張した。
Microsoftは訴訟の早い段階から、コンピュータにコピーし、インストールしたWindowsのオブジェクトコードがAT&Tの特許を侵害することを認めている。同社は、侵害に関与する米国製コンピュータの売上額に基づき損害賠償金を支払う意向があることを表明している。
しかし、米国政府などの支持を得るMicrosoftは、特許を侵害する外国製コンピュータについても損害賠償責任があるとした下級裁判所の判決を不服としている。Microsoftの主張によると、同社が外国メーカーに提供したのはマスターディスクだけで、これがマシンの物理的な「コンポーネント」になったことは一度もないという。むしろ、マスターディスクは外国メーカーが複製してインストールする設計図のような役割を担っていた、というのがMicrosoftと、本裁判をともに戦うIntel、Amazon.com、Yahoo、およびオープンソース開発者などの主張だ。
もし高裁がAT&T支持の判断を下せば、「米国企業各社は、製品が海外で複製されたときに特許侵害を問われるようになる」が、これは連邦議会が意図したところではないと、Theodore Olson弁護士は主張する。Olson弁護士はWaxman弁護士の後任として司法次官を務め、現在はMicrosoftの顧問弁護士を務めている。
Stephen Breyer判事は、AT&Tに有利な判決が出ると各方面から特許侵害の申し立てが出始め、「純粋な情報の伝送」まで侵害に問われる可能性が出るのを懸念しているという。
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