商品検索のエキスパートが精度向上に選んだ「人の目利き」

インタビュー:永井美智子(編集部) 文:吉澤亨史2007年02月26日 14時43分

 ビカムは2月1日、商品検索サイト「BECOME JAPAN」の正式サービスを開始した。1万店以上の店舗の商品1000万点を扱い、商品情報検索と価格比較が同時にできる点が特徴だ。BECOME JAPANは米Becomeが海外展開する初めてのサービスで、独自のアルゴリズムであるAIR(Affinity Index Ranking:類似性インデックス・ランキング)テクノロジーを利用している。

 米Becomeの創業メンバーの1人で会長兼CTOを務めるYeogirl Yun氏は、商品比較サイトのmySimon.com(現在はCNET Networksに買収)や、かつてGoogleへの対抗馬として注目されたWiseNut(その後LookSmartに買収、現在はサービスを終了)の創業者としても知られる。検索技術に精通したYun氏が検索結果の精度を高めるために選んだのは「人間の手によるフィードバック」というアナログな世界だ。

 日本ではショッピングモールの楽天市場や、価格比較サイトのkakaku.comのように大手ショッピングサイトがいくつも存在しているが、Yun氏は独自技術を利用することで日本市場の開拓は十分可能とみている。その戦略をYun氏と日本法人であるビカムの代表取締役社長、上野正博氏に聞いた。

――BECOME JAPANはどういったサービスですか。

上野:BECOME JAPANは、商品に関する情報収集とオンラインストアの価格比較が同時にできる商品検索サイトです。これまでは商品選びのために製品情報やユーザーからのコメントをいろいろなサイトから集め、商品が決まったら価格比較サイトやショッピングサイトで価格情報を調べて購入するというプロセスが必要でした。BECOME JAPANはこれらの情報一元化し、複数のサイトを行ったり来たりすることなく商品選びから購入までをできるサービスです。このサービスには、Becomeが独自に開発したAIRテクノロジーとサーチズーム機能を採用しています。

――AIRテクノロジーの特徴は。

Yeogirl:AIRは、Becomeが開発した検索の新しい技術です。この技術はGoogleが採用しているページランキングやHilltopアルゴリズムとはまったく異なるもので、特にショッピングなどの専門検索に有効な技術です。

 大きな特徴は2つあります。1つは、人間の手によるフィードバックを取り入れる点です。これは、従来の検索サービスとの大きな違いになっています。ビカムにいる十数人の編集スタッフが、それぞれの専門分野の数百にのぼるウェブページを実際にチェックし、そのサイトの情報が商品選びに有効かどうかを判断、評価してアルゴリズムにフィードバックしています。米国で言えば、CNET.comやAllAboutのようなサイトには高い評価を与え、これらのサイトからリンクされているサイトの評価は高くなります。

 もう1つの特徴は、リンクの評価を双方向にしている点です。Googleのページランキングは、そのサイトがどんなサイトからリンクを張られているかという点のみを評価しています。このため、たとえば私が非常にランキングの高いサイトを運営していて、友人がデジタルカメラを販売するサイトを新しく立ち上げたとします。私の運営するサイトから友人のサイトにリンクを張ると、Googleでは友人のサイトのランキングが急激に上がることになります。逆に、私のサイトのページランクに大きな影響はありません。

 これに対し、AIRでは、あるサイトに向けて張られたリンクだけでなく、そのサイトがどんなサイトにリンクを張っているかも評価します。AIRでは、先ほどの例の場合、ランクの低い友人のサイトにリンクを張ったことで、私のサイトのランキングが下がります。つまり、お互いにリンクを張り合うことで意図的にランキングを上げようとする行為に対し、ペナルティを課しているのです。何も考えずにリンクを張りまくることは、スパムをばらまくことと同じであると考えていますので、ペナルティを課すことで、リンクに責任を持つという意識を高める効果も狙っています。

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