Linuxの改良に取り組む組織であるOpen Source Development Labs(OSDL)は、技術諮問委員会を設置し、業界によって設立された同団体への不満を何度か表面化させたプログラマーらとの関係改善を図ろうとしている。
OSDLには、Linuxの生みの親であるLinus Torvalds氏や、その片腕的存在であるAndrew Morton氏も加わっている。しかし同団体は、IntelやHewlett-Packard(HP)といったコンピュータ業界の大手企業によって創設されたものであるため、Linuxプログラマーとより強力な関係を築くことを望んでいる。
OSDLの最高経営責任者(CEO)であるStuart Cohen氏は声明のなかで、「われわれは新たに設置したこの諮問委員会によって、開発コミュニティーが直面している最重要課題や技術的要求に対してリソースおよび人を集中する上でのより良い指針が得られるものと期待している」と述べている。
米国時間3月22日に発表された諮問委員会の設置は、Linuxが商業的な利益の追求に巻き込まれ始めた数年前から何度か表面化した緊張関係を反映している。Intel、IBM、HPといったコンピュータ業界の大手企業は、高名なLinuxエンジニアを多数雇用しているが、プログラマーらは業界から独立した勢力や文化を維持している。
諮問委員会のメンバーには、NovellのGreg Kroah-Hartman氏を含め、著名なオープンソース開発者が名を連ねている。なお、Kroah-Hartman氏はLinuxのUSBサブシステムの管理者であり、過去にはOSDLを批判している。
Kroah-Hartman氏は2005年9月に自らのブログで、「私は、OSDLの数年にわたるLinuxカーネルコミュニティーとのやり取りの仕方や、コミュニティーを代表していると見せかけるやり方には感心していない」と書いたり、「私は、OSDLがLinuxカーネルコミュニティーにとって非常に良いチャンスとなると思っているが、そのチャンスが遠ざかっていくのを見て失望を感じている」と書いたりしている。
Kroah-Hartman氏や彼の同僚との議論は進展し、2006年1月には、OSDLの委員会に対して意見書を提出している。17人の著名なカーネルプログラマーはこの意見書において、技術諮問委員会のアイデアを公式に提示し、カーネルプログラマーがOSDLの委員会役員の主要メンバーとなるべきであると提案した。
この技術諮問委員会のメンバーとなったJames Bottomley氏は、SteelEyeの最高技術責任者(CTO)であり、LinuxのSCSIサブシステムの管理者でもある。同氏はまた、技術諮問委員会の委員長を務めることになっている。
技術諮問委員会のメンバーは任期が2年で、OracleでLinuxエンジニアリングのディレクターを務めるWim Coekaerts氏、元IntelのLinuxエンジニアでLinuxカーネルの管理者でもあるOracleの主任開発者Randy Dunlap氏、Silicon Graphicsの主任技術者Christoph Lameter氏、Consumer Electronics Linux Forum(CELF)代表でLinux Tinyの管理者でもあるMatt Mackall氏、IBMのシニアエンジニアでLinuxファイルシステムの管理者でもあるTheodore Ts'o氏、LinuxカーネルのゼネラリストArjan van de Ven氏、Red HatのシニアエンジニアでLinuxセキュリティモジュールの管理者でもあるChris Wright氏が含まれる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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