政府の知的財産戦略本部(本部長・安倍首相)はこのほど、著作権法改正に向けた改正法案の作成する方針を固めた。5〜6月をメドに「知的財産推進計画2007」を取りまとめ、政府として著作権法改正の骨組みを提示する。
今回の方針は、知的財産戦略本部下に設置されたコンテンツ専門調査会内で、2006年9月から検討を開始。毎月開催される会合では、現行の著作権法と現在のネット社会における問題点や矛盾点の議論が続けられてきた。
現行法では、著作物のキーワードや索引の編集・利用の際には、著作権者の許諾が必要で、ネットの検索サービスでは、データを蓄積する検索サーバを国内に設置することができない。一方、米国の著作権法は公正な利用なら著作権侵害にあたらないと認めており、GoogleやYahooなどのネット検索事業者の日本法人は、検索サーバを海外に設置するなどし、日本の著作権法の適用を回避している。
これに対し、今回の改正では例外項目として「検索のための複製や編集」を盛り込み、ネット検索のデータ複製や編集は著作権侵害に当たらないことを明確化。ネット検索業者の育成を促すのが狙いだ。
また、著作権者に一定の補償金を支払えば許諾なしで文書をネットに保存・公開できる仕組みも検討。改正後は、絶版後の出版物のネット閲覧が可能になり、政府は国立国会図書館などの公的機関が所蔵する専門書を非営利目的で公開できるようにするなど、入手困難な出版物を利用しやすくし、研究活動の促進につなげたいとしている。
同調査会では、1月22日に開催予定の定例会合で改正法案骨子を固め、「知的財産推進計画2007」内で著作権法改正に向けた政府としての提案事項を盛り込む。今後は、文化庁長官の諮問機関である文化審議会の了承を経て、早ければ2007年秋の臨時国会に改正案を提出する意向だ。
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