変化する韓国ポータル業界--2007年はどうなる

佐々木 朋美2007年01月15日 17時47分

 ポータルサイトの変化が活発だ。2006年にはGoogleの韓国本格進出と、その直後のGoogleと「Daum」を運営するDaum Communicationsの提携、大手ポータルサイトの中小企業買収劇など、企業間競争が熾烈化すると、これに備えるように各社が動き始めた。

 「Naver」を運営する最大手のNHNは2006年末、Naverのサーバおよびシステム管理などを行っていたIBMとのアウトソーシング契約を終了すると決定し、大きな話題となった。2006年はNaverに大きなシステム障害が数度発生したことで、かねてからIBMとの決別説が出てはいたが、これが現実になった形だ。ただしNHNやIBM側では、今回の理由についてあくまで「契約終了」とだけ述べている。

 これと同時にNHNはサムスン電子や、日本にも進出している「オーマイニュース」などから人材を集め経営力の強化を図った。

 とくに注目すべきは新設されたリスクマネジメント組織だ。リスクマネジメント組織は4人からなりNHNで危機管理を行う役目を果たすのだが、NHN自身はこの組織のさらに詳しい業務が何であるかについては説明していない。

 NHNは2007年、日本を皮切りに海外への進出も行う。韓国ではGoogleが進出してきたうえ、ライバルであるDaumとの提携までしており、最大手といえども油断ならない状況だ。リスクマネジメント組織の新設は世界が相手となる今後に備えたものであるともいえるだろう。

 一方Daumは2006年12月、Googleとコストパークリック(Cost Per Click:CPC)広告分野で提携している。これによりDaumは検索広告においてGoogleの「AdSense」を利用することとなった。韓国に本格進出したばかりのGoogleと、NHNを抜き韓国トップの座を狙うDaum、両社の利害は一致する。今後は両社経営陣が集まるカンファレンスも開催し、検索ビジネスや協力強化などについて話し合っていく予定だ。

 じつはDaumとGoogleは2003年、DaumがGoogleの検索エンジンを利用することで合意したことがある。そのため今回の提携により両者間がより密接になったと見ることができ、今後は多方面での協力も見込まれる。

 「NATE」「Cyworld」を運営するSK Commnicationsは、2006年にポータルサイト「empas」を運営する同名の会社の持分24.4%を450億ウォンで買収。実質的な経営権を握ることとなった。

 empasといえばかつて「開かれた検索」機能で話題をさらった、気鋭の検索エンジンだ。開かれた検索は、キーワード検索を行うとempasのみならず他の検索エンジンの結果も表示するというもの。これに他社が反応し物議をかもしはしたものの、empasのこうした独創性は今後SKCにとって大きな助けとなりそうだ。当のSKCもempas買収により「Googleの国内進出に備える」(SKC)とライバル意識をむきだしにしている。

 さらに同社は2007年に「C2」を登場させる予定だ。これは制限の多かった既存のCyworldの短所を改善し自由度を高めているのが最大の特徴で、ミニホームページのレイアウトをユーザーが好きなように変えられるほか、トラックバック、RSS、マルチブラウザなどにも対応する見込みのようだ。先の検索機能強化とともに、このCyworldとの連携も期待される。またSKCではempas買収の際に、国際競争力強化もうたっていることから、こうした変化が日本を始めとした海外に影響してくる可能性もある。

 企業同士の協力や再編が多かった2006年。2007年にはこれらの影響が表れてきそうだ。それは韓国内だけでなく国際的な競争のためであるという点でも、韓国の大手ポータルの動きを見守る必要がある。

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