GoogleのYouTube買収でもちきりだった10月10日、Googleはもう1つ重要な発表を行った。韓国にR&Dセンターを設立するというのだ。
これは韓国政府の産業資源部と大韓貿易投資振興公社(KOTRA)による優秀な技術を保有する外国企業の誘致政策の一環として実現したもので、この日2機関とGoogleによる調印式が行われた。
Googleは韓国にR&Dセンター設立のために約1000万ドルを投資する一方で、産業資源部などは約12億5000万ウォンの支援を行う。R&Dセンターでは検索技術や映像処理、データ抽出技術などさまざまな分野についての研究開発が行われるという。
ところで産業資源部は今回のGoogleのR&Dセンター設立が、北朝鮮の核実験によって難航しないか気をもんだようだ。
産業資源部のチョン・セギュン長官は「北朝鮮による核実験の実行が明らかとなったことで外国人投資に影響を与えないかと心配されたが、それにも関わらずGoogleの確固たる意思でR&Dセンター設立のための投資を確定できて大変うれしい」と述べた。
これに対しGoogleのRobert A. Eustace副社長は「北朝鮮の核実験は今回の投資確定にまったく影響を与えなかった」とし「韓国は潜在力のある市場であり、投資に対する意思も固かった」と強調した。
こうして晴れて韓国への本格的な進出が決定したGoogleだが、具体的にどのような展開をしていくというのだろうか。これからR&Dセンターが設立されようとしている現時点ではまだ分かりにくいが、12日に少しだけ垣間見える機会があった。
それはEustace副社長が、韓国の大徳研究開発特区に位置する韓国情報通信大学が主催する、世界大学総長フォーラム(IFUP-ICT 2006)に参加した際の発表による。
同氏は「韓国はモバイルの加入者数が多いのが魅力的だ」と述べ「R&Dセンターを保有することで韓国の企業とパートナーシップを築くことができ、(携帯電話キャリアの)SK Telecomなどとの提携を通じて、今後の韓国および世界市場に向けたソリューションを登場させられるかもしれない」と明かした。
これに対しSK Telecomのキム・シンベ社長は「モバイル検索、モバイル広告など、GoolgleとSK Telecomがさまざまな部分で協力できる機会はいつでも開かれている」と具体例まで挙げ、Googleとの協力を好意的に受け止めている。
一方韓国のインターネット市場では、韓国企業が圧倒的な力を持っている。検索ポータル部門もその例に漏れず、NaverやDaumが利用率上位を占めるという市場構造は、ずっと以前から不動のものとなっている。「MSN」や「Yahoo!」が韓国に本格進出しているにもかかわらずだ。
となるとGoogleもこれらと同様、韓国市場で苦戦するのではないかと思われるが、そうした懸念はやはり既に挙がっている。Googleは韓国R&Dセンターで、韓国市場の構造を変えられるようなキラーサービスや斬新なマーケティング手法などを、まずは研究しなければならないだろう。
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