デジタルAVを圧縮符号化するMPEG-2には、TSとPSという2つの形式が規格されていて、現状のBDはMPEG-2 TS録画が基本になる。これに対して従来のDVDはMPEG-2 PS録画を採用している。こうした点でBDとDVDの間にはフォーマットの垣根があり、地続きのメディアとはいえない。
レコーダーではHDDからBDまたはDVDにダビングすることになるが、この際にHDDへの録画をTSとPSのどちらの形式で行うか? が課題になる。ダビング先のメディアと同じ形式でHDDに録画しないと、PSとTS間のトランスコード(変換)が必要になり、このためにダビングは高速ではなく、放送と同じ時間がかかる等速ダビングになってしまう。また、トランスコードのしかたによっては画質と音質に影響が出る場合もある。要するに使い勝手で、BDとDVDを両立させることは難しいのである。
パナソニックのBlu-rayレコーダー「DIGA DMR-BW200/100」は、折衷案という形で、デジタル放送はHDDにTS記録をしBDへ高速ダビング、アナログ放送や外部入力はPS記録してDVDに高速ダビングする。つまり「BDとDVDを使い分ける」設計思想だ。
一見リーズナブルに思えるが、PS録画した番組をBDへ記録したい場合は、TSへのトランスコード(変換)が必要になり、このためにダビングは等速になってしまう。例えば、昔のビデオをHDD録画してBDにダビングしたい場合は、HDDへの録画に実時間がかかり、さらにHDD→BDダビングに実時間が必要になってしまうのだ。
これに対して本機のHDD記録は、デジタル放送もアナログ放送もTS録画に統一されている(DVDへの直接記録はPS録画できる)。
パナソニック機とは逆にDVDへのダビングにはトランスコードが必要になるが、BDへはデジタル、アナログともに高速ダビングが可能だ。DVDの扱いを割り切り過ぎているようにも思えるが、BDを重視した設計とも考えられる。BD主体で保存する、という使い方がふさわしく、新世代のBDに賭ける同社らしい設計思想といえるだろう。こうした特徴からすると「デジタル放送はもちろん、昔のビデオテープやスカパー!もBDにダビングして残したい」という人に勧められる。
デジタル放送録画用のDRモードのほか、従来のアナログ録画モードのTS版として、XR、SR、LR、ERという4つの録画モードが用意されている。アナログソースの録画や予約録画、HD→SDレート変換ダビング時には、これら4つの録画モードが使えるしくみだ。HDD録画のほか、BDにもダイレクトに録画が可能だ。デジタル放送のマニュアル録画はDRモードのみになるが、デジタル放送の予約録画では上記のすべてのモードが指定できる。
XRモードは15Mbpsと高い記録レートを採用している。このため「外部入力などのSDアナログソースも高画質にBDに保存したい」人に勧められるだろう。実際に昔のVHSテープをXRモードでBDにダビングしてみたが、DVDで出やすい圧縮ノイズがほとんど目立たず、高画質な録画が可能だった。
HD→SDレート変換ダビング時には、「ダイナミックVBRダビングPRO」機能による2パスエンコードが効果的だ。この機能はレートに落差があるほど有効で、込み入った画柄の多い映像でも圧縮ノイズが出にくく、その効果が確認できた。また、コピー制限のないタイトルはBD→HDDの高速、無劣化書き戻しも可能で、このあたりにもHDD記録をTSに統一したメリットが感じられる。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?