Yahooは10を超える製品グループを2つの事業部門に統合しようとしているが、同社が提供するエンターテインメント系プログラムの数は減り、逆にユーザー生成型のコンテンツが増えると、複数の専門家が米国時間12月5日に予想した。
Yahooは5日、従来の製品別組織構造を解体し、ユーザーを対象とする部門と、広告クライアントおよびパートナーを対象とする部門を立ち上げることを明らかにした。具体的には、7つの製品グループが「Audience」と呼ばれる1つの部門に統合され、残りの7グループが「Advertisers & Publishers」部門に組み入れられる。両部門をサポートするインフラストラクチャを扱うのは、「Technology」部門だ。
市場シェアおよび売り上げをGoogleに奪われつつある中で、Yahooはこうした組織再編を発表した。ほかにも同社は、新たな広告プラットフォームのリリースの遅れや、第3四半期の収入減少といった問題も抱えている。株価も、今年初頭から約30%下落した。
Yahooの最高経営責任者(CEO)Terry Semel氏は5日に全社的に送信した社内メールで、Audience部門はYahooのネットワーク全域にわたって「ソーシャルメディア環境を構築」し、これをモバイルおよびIPテレビに拡張していくと述べた。またTechnology部門は、「Yahooネットワーク上のあらゆるユーザーが、(中略)タグやレビュー、写真および映像の投稿などを通して(コンテンツ作成に)参加できるようにする」部門だという。
ブックマークサイトDeliciousや写真共有サイトFlickrなどを買収した結果、Yahooの製品には重複が生じており、これらが統合される可能性があると、アナリストらは指摘している。
Sterling Market Intelligenceの主任アナリストGreg Sterling氏は、「DeliciousとMyWebか、Yahoo PhotosとFlickrが統合されるかもしれない。Yahooでは、あまりに多くのスタッフが、あまりに多くの製品を同時に担当する状態が続いている」と話した。
また、Forrester ResearchのアナリストCharlene Li氏は、Yahooはユーザーが関心を抱いているものに今後の焦点を絞り込むと考えられ、その中には既存のメディア製品にソーシャルメディア機能を実装するといった取り組みが含まれると述べている。
Li氏はブログに、YahooのユーザーIDが、ウェブメールやソーシャルネットワーキングサイト「360」などの異なるサービスで利用可能になることもありうると記した。「技術部門を新しく中央に据えることで、こうしたサービスの不一致が解消されるだろう」(Li氏)
The Kelsey Groupで上級アナリストを務めるMike Boland氏は、技術基盤の統合が実現し、ユーザーが複数のサービスを簡単に使えるようになれば、「My Yahoo」のような人気の低い製品にも復活の芽は出てくると話している。
もっとも、Yahoo側が制作するエンターテインメント番組などのコンテンツは徐々に減っていくだろうと、Boland氏をはじめとする専門家は見ている。Yahooはそうしたコンテンツを作成するために、Lloyd Braun氏を雇用してメディア部門の責任者に据えたが、同氏は今回の組織再編により、最高執行責任者(COO)のDan Rosensweig氏および国際事業担当シニアバイスプレジデントのJohn Marcom氏とともに辞任することになった。
「エンターテインメント番組の制作には、多額の資金がかかる。『Yahoo Tech』や『Yahoo Food』の運営は続けると思われるが、ユーザー自身がコンテンツを追加できる仕組みも調えられるだろう。現時点では、サイトに掲載されていたレシピを、自分のレシピボックスに保存することすらできないのだ」(Li氏)
一方で、Yahooの最高財務責任者(CFO)であるSue Decker氏は現在のポストから退き、代わりに収益性の高い広告部門を監督する。アナリストらはこの動きを、同氏が次のCEOとなるための準備ととらえているようだ。
「今回の人事異動は、Decker氏が次期CEOの最有力候補であることを示唆するものだ」(Sterling氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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