香港発--100ドルノートPCプロジェクトをまとめるNicholas Negroponte教授は、One Laptop Per Child(OLPC)が低価格デバイスの購入について複数の富裕国と交渉中であることを明らかにした。ただし、これらの国々は自国のためではなく貧しい国々のためにデバイスを購入することになる。
Negroponte教授は当地で開催中の「ITU Telecom World」カンファレンスで、OLPCがナミビア向けのノートPC発注に関してフィンランドと交渉中であることを明らかにした。OLPCはほかにも、パキスタン向けの購入についてはUAEと、そしてアフリカのフランス語圏の国々向けノートPCの購入支援についてはフランスとそれぞれ交渉中だという。
しかしNegroponte教授は、欧州の貧困国にノートPCを提供するつもりがないとしている。同氏は、「欧州、米国、日本と交渉することがあるとすれば、それは(開発途上地域の)子どもの資金援助に関する内容になる」と語っている。
同氏はさらに、OLPCが現在メキシコ、パキスタン、フィリピン、そして中米8カ国のグループと交渉中であることを付け加えた。これら各国は、共同で資金調達と発注を目指す。
また、MIT Media Laboratoryを創立し、所長を務めたNegroponte教授によると、報道されている内容に反し、タイ政府が9月のクーデター後に発注を断念したとは聞いていないという。
同氏は、「そのような話は聞いていない。前政府とは密接な関係にあったので政権交代は打撃だった」と語っている。Negroponte教授は、まもなくタイ入りして同国王室および新政府と面会し、100ドルノートPCの導入計画が継続されているかどうか探る予定だという。
同プロジェクトを批判するインドの教育長官などは、100ドルあったらコンピュータハードウェアより従来からある教材に投資した方が良い、との考えだ。だがNegroponte教授は、「栄養失調だ、飲料水がない、病気だという子どもになぜノートPCを与えるのだろうか?ノートPCを教育という言葉で置き換えて考えてみると良い。そうすれば、2度とそのような質問はしないだろう」とし、このような考えを否定する。
Negroponte教授によると、このデバイスの技術的な面を強調する人が多すぎて、教育学上の目的よりも、そのオープンソースソフトウェア、価格、メッシュネットワーク、そしてバッテリの方に注目が集まりすぎているという。
同氏は、「これは教育プロジェクトであり、ノートPCプロジェクトではない。人にたとえると、美しいブロンドの髪を持つことと同じような危険をはらんでいる。誤った部分に注目してしまう。誘引的ニューサンス(危険かつ迷惑な近隣の物)に近い。われわれは貧困の撲滅に立ち上がった。学校を増やすのではいくら時間があっても足らない。そこで、子どもたちが自分で何かをできるようにしようと努力しているのだ」と語っている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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