ヤフーが描く、媒体に依存しない「行動履歴分析型」広告とは? - (page 2)

別井 貴志 (編集部) 、構成:島田昇(編集部)2006年11月21日 19時28分

--新検索広告プラットフォーム「Panama」の現状については。

 米国ではシステムのカットオーバーが終わりました。今は旧システムとPanamaの両方が動いている状況。年内一杯をメドに移行を進めて、すべて終わった段階で新しいロジックへの切り替えも行います。3カ月遅れくらいで日本も同様の展開ができるようになるでしょう。

 Panamaの一番の目標は、米Yahooが買収したOvertureとYahooのシステムを1つにしようということ。今のネット広告市場を素直に見ると、ブランディング広告はどの国でも規模が大きい。検索連動型広告のような営業費なのか販促費なのかが分からないような使われ方も規模が大きくなってきましたが、一方でマスメディアとしての広告市場は捨てがたい。Panamaではこの両方を使いやすい形で機能提供できるようになる。

 また、これだけで盤石になるとは思っていなくて、例えばアフィリエイト広告はこれからまだ伸びるので、その部分についてはやっていこうと思っています。

--ソフトバンクグループのSNSとなる「myspace」と「Yahoo!Days」は棲み分けできますか。

 ヤフーが目指すソーシャルメディアは、単に人がつながっているということだけではなく、それによってさまざまなサービスが充実していくというもの。CGM(消費者生成メディア)はさまざまで、mixiのような掲示板のようなものもあるだろうし、ネット閲覧者の行動によって生成される検索ランキングのようなものもある。

 まずここで問題になるのは、クオリティ。最近はよくこんなことを言っています。「グーグルが登場するまでロボット検索は使い物になりませんでしたが、お利口な考え方に基づいて検索結果の並べ方を変えただけで、ロボット検索は途端に使えるものになった」と。今のCGMは、こうした初期のロボット検索と同じ状況にあると思っています。

 今あるソーシャルメディアはそれだけで儲かるものではないでしょう。ですから、それそのものにそれほど大きな価値があるとは思っていませんが、「SNSで作り上げられる人間関係図がユーザーの作り出すコンテンツをキレイに並び替える1つの手段として使える」ということには大きな価値があります。ここのところについては、ありとあらゆる手段を使って増やしていかなければならないと思っています。

 Yahoo!Daysに公開範囲の設定という機能がありますが、これをするための友達の指定については、ヤフーの全サービスの中で共通にならなければならないと思っています。つまり、全体的に友達関係図をヤフーが共有し、その関係図の部分は「CGMが使い物になるクオリティにするために活用する」ということになります。

 友達関係図のデータベースやさまざまなサービスから作られるCGMはたぶん100個くらい出てくるだろうけど、Yahoo!Daysはそのうちの1つです。どのようなCGMがどれくらい出てくるのかということについては、思いつくものはすべてやりたいと思っています。社内では「全サービスにCGMを入れろ」とも言っています。

 ヤフーには「Yahoo! JAPAN ID」というサービスがあって、これがその制御に使えるということが分かっています。しかし、マイスペースなど他のサービスがYahoo! JAPAN IDと連動することはなかなか大変なことです。例えば、ヤフーでAさんの人がmyspaceではBさんになってしまい、AさんとBさんが一緒の人で、ヤフーにいる元々のBさんとは違う人だ――ということをやっていかなければならない。これをやるのは難易度が高いので、その部分をうまくできるのかどうかについての相談をしている段階です。

--その前提でmyspaceとは話しているのですか。

 うちにとっての価値ある連携はそれしかないので、まずはできるかどうかの技術的な検証をします。それができるのであれば、myspaceだけに限らず、mixiなどともID連携できるといいなと思っています。

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