10月1日から提供を開始したソフトバンクの携帯電話向けサービス「Yahoo!ケータイ」の影響については、ソフトバンク端末を経由したページビュー数は2006年6月末に比べて約6倍に伸びたという。ただし、ワンタッチでパーソナルサービスやコンテンツにアクセスできる「Yahoo!ケータイボタン」を押してアクセスしても、まだ広告は表示されない。
これについて、代表取締役社長の井上雅博氏は「アクセス数が伸びたといっても、まだ広告で売り上げを期待できるような規模にはなっていない。それよりも、まずはケータイを利用してインターネットをもっと使ってもらいたいと考えており、その第一歩を踏み出したところだ。使い勝手のほうを今は優先している」と説明した。なお、この間のauからのアクセスは、横ばいか若干減少したそうだ。ボーダフォンからは第1四半期に大型の広告出稿があったが、これが第2四半期にはさほど膨らまなかった。第3四半期の業績見通しについては、ソフトバンクモバイルからの大型出稿があってもなくても出せるような数値を掲げたという。
さらに、同社は10月から広告掲載結果の測定方式としてCSC(Client Side Counting)を導入した。CSCとは、IAB(Interactive Advertising Bureau)が提唱する国際的なカウント基準に合致する測定方式のことだ。検索ロボットなどからのアクセスを排除して、実際に利用者に到達した広告の数を集計するため、配信された広告の数をより高い精度で測定できるようになる。測定単位はインプレッション。
つまり、これまで事実上の基準となってきたページビュー(PV)や広告配信回数というものは、サーバから広告が呼び出された回数をベースにしてきたので、これではユーザーの手元に本当に広告が届いたかどうかが不確かだったのだ。井上社長は「CSCの導入でより精密に広告の配信数を計れるようになり、広告主に対するネット広告の信頼性を向上できるようになった」と述べた。
さらに、米Yahooと同様に、今後同社も新しい検索広告プラットフォーム「Panama」(コードネーム)を導入しようとしている。米Yahooは予定より3カ月遅れて、米国時間10月17日に公開すると発表している が、日本でも米国に3カ月遅れぐらいで導入できる見込みだ。
井上社長は、Panamaについて「スポンサーサイト(リスティング広告)の改善につながり、予定どおり導入できればさらに大きく売り上げが伸びるだろう」と期待を込めた。井上社長は、このPanamaのプロジェクトは単純ではないが、わかりやすく言うと次のようになるとした。
「簡単な部分でいうと、現状オンラインでリスティング広告を購入(入札)する際には圧倒的にGoogleのほうが買いやすいが、それよりももっと買いやすい機能を提供できるのがPanamaだ。また、複雑な部分でいうとヤフーはオーバーチュアが最初に開発した古いシステムを使っており、検索結果に表示されるリスティング広告の順番は単純に高い価格で入札した順番となる。これに対してGoogleはクリックレートを掛け合わせて売上高の大きい順番に表示される。その方が合理的だし、売り上げも期待できるので、こうした機能に強化される」
このように、PanamaによってGoogleに負けないくらいリスティング広告が強化されることになる。この意味は大きく、井上社長は「ヤフーの強みはサイトへ誘導するリスティング広告と、マスメディア的なブランディング広告とその両方を持っているところだ」とし、特に日本では圧倒的なブランディング広告展開に、リスティング広告が強化されれば、盤石のかまえになるというわけだ。
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