カリフォルニア州サンノゼ発--ソニーは、Blu-rayの不足、バッテリのリコール、「PLAYSTATION 3」の売れ行きなど、いくつかの懸念材料を抱えながら年末商戦を迎えることになりそうだ。しかし、薄型テレビのコモディティ化は同社の懸念材料ではない。
ソニーのテレビマーケティング担当バイスプレジデントのPhil Abram氏は米国時間11月9日、当地で開催されているiSuppli主催のFlat Information Displays Conference 2006に集まった聴衆を前に次のように語った。「率直に言って、われわれは(薄型テレビのコモディティ化を)懸念材料とは見ていない。むしろ好機と捉えている」
Abram氏は、「かつてCRT業界では、テレビメーカーがコモディティ化の脅威に直面した」とし、その脅威を回避するには技術革新が重要であると指摘した。
Abram氏はさらに、「薄型テレビはCRTテレビとは異なる」とし、「コモディティ化を脅威と感じるのは、(テレビメーカー側に)想像力が欠如しているからだ」と述べた。
テレビの技術革新と言えば、鮮明度の向上や応答時間の短縮を意味する場合もあるが、大半の消費者は1080pと1080iの違いを理解した上で特定のテレビを購入するわけではない。Abram氏は次のように述べる。「消費者は薄型パネルを購入するのではない。彼らはテレビを購入するのだ」
いわゆるガジェットと呼ばれる製品は、極めて短いサイクルで商品の入れ替えが行われる。iSuppliのRiddhi Patel氏によると、2009年に薄型テレビ、特に液晶テレビの売り上げが、初めて従来のCRTテレビの売り上げを上回るという。
その要因として、薄型テレビの利点に対する消費者の理解が深まることが考えられるが、価格の急落も要因の1つだ。iSuppli によると、2005年の年末商戦期間中に3473ドルだった40〜44型液晶テレビの平均価格が、2006年の第3四半期末までに34%減の2304ドルまで下落したという。
それでもAbram氏は、(薄型テレビの)コモディティ化はソニーにとってまだ不安要素ではないと語る。同氏はその理由として、ソニーは、同社製液晶テレビ「BRAVIA」と競合製品、さらにプラズマテレビなどの競合技術との品質の違いを消費者が理解できると確信しているからだ、と指摘した。
またソニーは(薄型テレビの)コモディティ化を食い止めるためのある実験を行った。同社によると、実験は成功だったという。この試験プログラムでは、消費者にさまざまな色のベゼル(テレビ画面の枠)を提供し、購入したソニー製テレビをカスタマイズしてもらった。「(プログラムは)期待をはるかに上回る大成功だった」とAbram氏は語る。同氏はその理由について、このプログラムを通して、消費者のテレビに対する認識が、単なる役立つ電子機器から、家の装飾の一部へと変化したためだと説明した。「(消費者は)テレビをつけている時も消している時も常にテレビの見栄えを良くしたいと考えている」(Abram氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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