9月中間決算の好調も株価伸び悩むシャープの今後

 ほぼ想定通りの好調な2007年3月期中間(4〜9月)連結決算を発表したシャープ。しかし、株価が今ひとつ伸び悩む状態にあり、今後の動向に注目が集まっている。下期以降の業績動向を占うとともに、今後の株価推移を探った。

 シャープが10月25日に発表した9月中間期の連結決算は、主力の液晶テレビや液晶ディスプレイで販売価格の下落が予想以上に加速していたものの、このマイナス要因を販売台数の拡大で補完。高上高1兆4650億円(前年同期比10%増)、経常利益830億円(同25%増)とほぼ予想通りの好調な結果となった。

 売上高増加のけん引役となっている液晶テレビは、加速する販売競争の激化から、市場全体の平均では今年3月末から9月末までの半年間に販売価格が約20%以上の下落となったもようだ。これに対して同社は、付加価値の高い37型以上のフルスペックハイビジョンを積極的に注力したことなどで、上期の液晶テレビ価格はわずか2%の下落率にとどまった。これが上期の液晶テレビ部門で、売上高2468億円(前年同期比33%増)、台数ベースで同252万台(同46%増)という非常に高い伸び率の原動力となった。

 下期の液晶テレビの見通しについて同社では、5%程度の販売価格の下落は覚悟しているものの、従来からの通期見通しである売上高5500億円(前期比34%増)は変えていない。今秋から第8世代のマザーガラスを採用した亀山第2工場が稼働、より大型機種へのシフトが加速することから、採算の向上も見込めるためだ。このほか、高いシェアを持つ携帯電話機、太陽電池などの成長も通期の業績拡大には寄与してくると見られる。

 通期の連結業績予想については、9月中間期が好調な決算となったものの、従来予想の売上高3兆円(前期比7%増)、営業利益1800億円(同10%増)、経常利益1700億円(同12%増)、純利益1000億円(同12%増)を変更していない。しかし、現在の日米欧、それに中国などアジアの景気動向や外国為替相場に大きな変化がなければ、業績予想が上方修正されることになりそうだ。

 今後のシャープの業績見通しについて準大手証券のアナリストは「液晶テレビ業界全体の販売価格がこの半年で20%も下落していて、大手家電量販店などで30インチ以下の機種が実質販売価格“1インチ=5000円”レベルに急接近している。そのため、韓国や台湾の大手液晶メーカーの収益が急速に悪化していることを考えると、シャープの競争優位は加速しているようだ。現在のところ、北米液晶テレビで25%のシェアを持つソニーをはじめ、大攻勢をかけてきたサムスンなどをシャープがどの程度まで追撃できるのかに注目したい」としている。

 シャープの株価は全体相場の急落に連動するかたちで、今年6月14日には1571円の年初来安値をつけた。しかし、その後は急速な反転上昇軌道に乗り、10月16日には2150円の高値をつけ、年初につけた年初来高値(1月30日の2185円)まであと一歩と迫った。その後は9月中間期の好決算を発表したにもかかわらず、株価はジリ安歩調をたどることになり、10月27日には終値で2060円となった。

 今後、もし2000円の大台を割り込むような場面があれば、割安感から積極的な押し目買いが入ることが想定できる。また、直近の東証信用倍率が0.91倍と売り残が買い残を上回る状態にあり、さらにはその売り残が将来の買い要因となることから、年末にかけては小幅な上下動を繰り返しながらもジリ高歩調をたどり、再び年初来高値を更新する期待も持てそうだ。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]