グーグルやヤフーが勝者ではない--プレーヤーがしのぎを削るモバイル検索

小野裕史(シーエー・モバイル)2006年10月18日 16時02分
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 2006年5月にauがGoogleの導入を発表し、次いで7月にはNTTドコモが、Googleやシーエー・モバイルの「SeafTyy」など10社の検索エンジンを導入すると発表した。さらにソフトバンクモバイルに社名変更をしたボーダフォンでもヤフーとの提携が発表されるなど、現在モバイル市場は、検索の話題で溢れている。

 PC市場においては、Googleとヤフーの寡占となっている検索分野だが、モバイル市場では、国内外のさまざまなプレーヤーが市場シェアの奪い合いをしていて、勝者はまだ決まっていないという状況だ。

 この連載では、ネット業界からは見ることのできない、モバイルビジネスの最新動向について、各テーマごとに紹介していきたい。連載第1回となる今回は、モバイルの検索を中心に、モバイルにおけるマーケティングについて、PCの市場と対比して解説していきたい。

モバイル検索をとりまく状況

 モバイル検索の利用は2005年から始まったパケット通信利用料金の定額制が普及したととともに加速している。モバイル検索が普及した背景には、モバイルユーザーの「一般サイト」へのニーズが拡大しているということが挙げられる。

 モバイルサイトは、「iMenu」などのキャリアのポータルメニューに登録され、ポータルからのトラフィックを主な流入源とした「公式サイト」と、ポータルに登録されず、トラフィックを自ら集める必要のある一般サイト(勝手サイト)にわかれる。

 パケット通信の定額制が始まってから、サイト回遊は活発になった。ユーザーは公式サイトだけでは満足せず、一般サイトへのアクセスを拡大させ続けている。NTTドコモの発表によると、2006年8月時点で、一般サイトのトラフィックはiモードサイトへのアクセス全体の71%を占め、公式サイトのトラフィックを大きく上回っている。

 2006年8月現在のiMenu公式サイトは約7000サイトあり、キャリアのポータルメニューからアクセスできる。この一方で、一般サイトはブログをはじめとしたCGM(Consumer Generated Media)も含め数百万サイトにも上ると言われており、アクセスの方法もさまざまだ。そのような中で、「目的の一般サイトにアクセスする」というニーズを満たすモバイル検索エンジンの普及が拡大している。こうして利用者が増加しているモバイル向けの検索エンジンだが、まだまだ多くの問題を抱えている。

Googleでも難しい「モバイル検索」

 一般に検索エンジンは、ヤフーのディレクトリ検索のように、人がサイトを評価し登録している「ディレクトリ型」検索エンジンと、Googleのようにコンピュータが自動でサイトの情報を収集する「ロボット型」検索エンジンの大きく2つに分けられる。

 モバイル検索のトレンドとして、PCの検索において過去そうであったように、ディレクトリ型の検索エンジンから始まり、ロボット型の検索エンジンへと少しずつ利用動向が変化している。

 ただ、現状のモバイル検索において、ロボット型の検索がユーザーの視点に立った場合に、利用するに値する精度があるかというと少し疑わしい状況となっている。

 その理由としては、まず、キャリアの公式サイトをはじめ、多くのモバイルサイトがPCや検索エンジンのクローラーによってアクセスされないようにIP制限を掛けているため、優良サイトが検索対象にならないといった検索の対象データの欠如という問題がある。

 そしてリンク構造がPCとは異なりツリー化されていないこと、1ページあたりの情報量、HTMLに含まれる付加情報の欠如、絵文字や省略文字といった特殊表現により、どのようなサイトが優良なサイトなのかという基準づくりが難しいということも挙げられる。

 PCで圧倒的な精度を誇るGoogleであっても、モバイルの検索結果については、必ずしも適切な検索結果が表示されないケースも見受けられる。

 そのためモバイル検索においては、現状ではディレクトリ型の検索エンジンの利用価値が高いものの、ロボット型の精度向上とともにユーザーからの評価も変わっていくことが予想される。

CMや雑誌からの誘導に期待できるモバイルSEM

 SEMとは、Search Engine Marketingのイニシャルで、検索エンジンを活用して自社のウェブサイトへの訪問者を増やすマーケティング手法のことだ。

 SEMの概念や手法は多岐に渡るので、ここでは最近のトレンドと、モバイル向けのSEMについて考えてみたい。

 最近のSEMの潮流として、テレビコマーシャルや雑誌、電車の中吊り広告で「詳しくは、○○と検索してね」と宣伝して、検索エンジンを通じてウェブサイトに誘導するといった他のメディアとの連動が増えている。

 このようなSEMでは、現状あくまでPCにおける検索を中心においているので、モバイルで同じキーワードを検索しても、まったく検索結果に引っ掛からないことが少なくない。

 しかしながら、モバイルの利用シーンで1番多いのが電車の中、2番目に多いのがテレビの前という調査結果もあるように、この手のプロモーションにおいては、PC検索よりも親和性が高いのが実はモバイル検索なのではないだろうか。

 今後は、モバイル検索エンジンからモバイルサイトへアクセスするといった、モバイル内で完結したSEMに加え、他媒体とのメディアミックスを活用したモバイルSEMがポイントになると考えられる。

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