Googleが、ビデオ共有サイトYouTubeを16億5000万ドルで買収すると発表した。しかし、GoogleはYouTubeが抱える一連の著作権侵害訴訟も同時に取得した可能性がある点については触れなかった。
YouTubeがビデオ共有サービスを提供する一介の新興企業だった時は、同社には当然、それほど資産もなかった。しかし、同社が膨大な利益を手にしたことで、誰もが投稿可能な商用ウェブサイト上に自分のコンテンツが掲載されていることに苛立ちを感じている著作権者らが相次いで同社を提訴している。
しかし、そのYouTubeが間もなくGoogleの一部門になることから、その状況が一変する可能性がある。Googleはすでに、書籍の出版社、ジャーナリスト、写真家らから提起された知的財産権をめぐる多くの訴訟を抱えている。ただ、原告の中には主張に説得力がないにも関わらず、一攫千金を目指して提訴している者も2、3人ほどいる。
一方、今回の買収の当事者である企業の幹部らは訴訟に対する懸念をさほど深刻には考えていない。YouTubeの共同創設者兼最高経営責任者(CEO)、Chad Hurley氏は電話インタビューの中で次のように述べた。「われわれは常に、権利者の権利を尊重してきた。今回の買収により、われわれはこれまで以上に著作権問題に集中できると同時に、著作権者が利益を得られるシステムの構築が可能になる」
しかし、YouTube(Google)が法的責任を負うことになるか否かは、依然として驚くほど整備されていない著作権法のある部分を裁判所がいかに解釈するかにかかっている。さらに、Groksterのファイル交換をめぐる訴訟で米最高裁が下した判決が、責任の所在に関する問題をさらに増幅させた。
ミシガン大学で著作権法を教えているJessica Litman氏は、「この問題は大変不透明だ」と述べ、「(著作権法の)セーフハーバー条項の範囲に関する訴訟はこれまであまり例がない」と語った。
法的責任問題の中心は、1988年に制定されたデジタルミレニアム著作権法(DMCA)の中でも特に文字数の多い条文、第512条の文言だ。DMCAは、ウェブサイト運営が今ほど盛んでなかった時代に米議会が起草した。そのため、YouTubeが抱えるような問題に明確に対応する条文は盛り込まれていない。またこの512条は、Napsterが訴訟における自己防御手段として同条の権利を主張したが、結局失敗に終わったことでもよく知られる。
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