過去を振り返ってみると、大規模な買収や契約は、時に膨大な利益を生むこともあるが、大きな損失に終わるときもある。
Googleは米国時間10月9日、ビデオ共有サイトYouTubeを16億5000万ドルで買収すると発表した。買収は株式交換によって行われる。この大型買収の成果が上がるかどうかは、すぐには答えを出すことはできない。しかし、これまでの買収劇の中には、相乗作用を得られず失敗した例があることを忘れない方がいいだろう。以下に、7件の失敗例と、2件の成功例を掲載する。
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Broadcast.com:Yahooは1999年、Broadcast.comを57億ドルで買収し、テレビとインターネットの融合を目指した。しかし、テレビとインターネットの融合が実現されたのは、Yahooが同社を買収した1999年ではなく2005年になってからだった。YahooはBroadcast.comの資産を一度も十分に有効活用できなかったが、インディアナ州出身のBroadcast.com創業者Mark Cuban氏はこの買収で億万長者になれた。
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Netscape:Netscapeがソフトウェア企業だったときのことを覚えているだろうか。同社はブラウザを開発し、その後には新規株式公開(IPO)で大企業に一躍変貌した。1998年、AOLはNetscapeを買収し、Sun Microsystemsと提携を発表。SunはAOLに約10億ドルを資金提供し、Netscape製品を販売するライセンスを得た。その後、Sunとの協力体制は崩壊し、現在、Netscapeはダイアルアップを使った低価格ISPとしてサービスを提供している。
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Spyglass:OpenTVは2000年、Spyglassを25億ドルで買収した。SpyglassはNetscapeと同じイリノイ大学の研究室で誕生した。この買収発表により、OpenTVの株価が跳ね上がった。これも一種のテレビとインターネットの相乗効果だった。Microsoftは、この際にうまく立ち回り、Spyglassから「Internet Explorer」に使用するテクノロジのライセンスを得た。Spyglassに数百万ドル支払ったが、合計しても買収額に比べればずっと安い買い物だ。
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WebTV:Microsoftもいつも正しかったというわけではない。MicrosoftはWebTVを4億2500万ドルで買収したが、ウェブ上のテレビ放送サービスは小さなままだ。WebTVの創業者Steve Perlman氏にとっては、大きなもうけ話だったろう。
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Intelおよびその他:Intelは、1999年1月から2001年12月までに110億ドルを投じ35の企業を買収した。同社は、その後にレイオフや部門閉鎖を経験するが、2003年には買収を再開する。レイオフについては、最近再び実施されている。
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Diba:Sunは、テレビとインターネットを融合する手段として、インターネット・セットトップ・ボックス・メーカーDibaを1997年に買収した。4年後、Sunは同買収の失敗を認めている。もっとも、Sunの買収策すべてが失敗だったというわけではない。1996年、同社はLighthouse Designという企業を買収している。Lighthouseの経営は、将来のSun最高経営責任者(CEO)Jonathan Schwartz氏が行っていた。
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Globe.com:この会社を覚えているだろうか?2人の学生がコーネル大学の寮で起こしたウェブ企業で、1998年にはIPO初日における値上がり率の記録を作る。同社は、2001年には不振に陥っている。皮肉にも、同社が持つIPO初日の値上がり率記録を塗り替えたVA Linuxも現在、プロプライエタリなソフトウェアを販売する普通の企業となっており、同社CEOのLarry AugustineはIPOで億万長者となったものの、既にその職にはない。
成功例:
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PayPal:この買収については議論の余地はない。PayPal獲得によりeBayは、取引処理の簡略化を実現した。また、PayPalは、将来のシリコンバレーのリーダーを育成する場としても良い企業だった。創設者Elon Muskは、Tesla Motorsや太陽発電企業に投資をしている。また、YouTube創設者Chad Hurleyも出身者だ。
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Mirabilis:再びAOLだが、今回は成功例。AOLは1998年にICQメーカーMirabilisを買収している。インスタントメッセージングが誕生したが、買収費用はわずか2億8700万ドルだった。それでも、Yossi VardiやYair GoldfingerなどのMirabilis初期メンバーは、イスラエルにある他のソフトウェア会社への投資が可能となった。
では、MySpaceはどうだろう?News Corp.による6億5000万ドルの買収は成功との見方が今のところ大半だが、判断を下すのは時期尚早とも言われている。