Salesforce.comがオンデマンドアプリケーション関連の新たなサービスを立ち上げる準備を進め、OracleやMicrosoftとの直接競争も辞さない構えを取っている。
Salesforce.comは米国時間10月9日に年次ユーザーカンファレンスを開催し、バックエンドサービスとともに利用するJava風の新プログラミング言語「Apex」を発表した。同言語は、Salesforceがホスティングしているインフラストラクチャ上で動作するオンデマンドビジネスアプリケーションの開発に用いられる。
Apexは、バックエンドデータベースおよびワークフローサービスとあわせて、ビジネスコンピューティングプラットフォームとして運用されることを想定したサービスだ。すなわち、Oracle、Microsoft、SAPなどのソフトウェアおよびサービスと直接的に競合することになる。
Salesforceの製品マーケティングディレクターAdam Gross氏は、「あらゆるエンタープライズアプリケーションが、Apexの登場をきっかけにオンデマンド化していくだろう。Salesforce.comにとっても、大規模な事業拡大が見込めるチャンスになる」と話した。
折しもSalesforceは、CRM製品を専門に扱う企業から、幅広い分野の製品を扱うコンピューティングインフラストラクチャプロバイダーへの転身を図っており、今回の取り組みで同社の企業向けビジネスはさらに充実すると考えられている。ボストンに拠点を置くAMR ResearchのアナリストRob Bois氏によれば、Salesforceはこうした試みを実現させることで、同社が提供しているようなSAAS(software-as-a-service:サービスとしてのソフトウェア)製品は、高度にカスタマイズされたシステムを必要とする大企業には適さないと主張するOracleやSAPを封じ込めることができるという。
「OracleやSAPが、SAASは企業利用に向いていないとする理由を説明するのは今後ますます難しくなるだろう。特にこのたびの発表は、カスタムコーディングができないという競合社の反論の根本的な論旨を覆すもので、その妥当性は大いに低くなった」(Bois氏)
Gross氏は、Salesforceの最高経営責任者(CEO)であるMarc Benioff氏が、9日のユーザーカンファレンスでApexの詳細を発表すると予告していた。
同氏はさらに、Salesforceは独立系ソフトウェアベンダー(ISV)と契約を結び、Apexインフラストラクチャ上で動作するアプリケーションの開発にも着手する意向だと話した。
一方Bois氏は、Salesforceのオンデマンドサービスにおける戦略は、Microsoftの戦略によく似ていると指摘している。
「Microsoftはライセンスソフトウェアを販売していくが、この点をのぞけば、Salesforceの戦略はMicrosoftのそれとほとんど変わらない。両社とも、CRMソフトウェアおよびツール、ポータルソフトウェアを提供して、アプリケーションやアドオンの開発にはISVを動員する戦略を採用している」(Bois氏)
Gross氏によれば、Apexは2007年前半に提供が開始されるという。価格帯はまだ明らかにされていない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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