「ChangeではなくTrance Formation」--マイクロソフトが語る次世代エンタメの世界

島田昇(編集部)2006年10月04日 16時45分

 「Change」ではなく「Trance Formation」――。

 より本質的かつ構造的な変化を意味する「Trance Formation」を、マイクロソフト日本法人が描く「次世代デジタルエンターテインメント戦略」のキーワードに据えて、同戦略を指揮するマイクロソフト執行役常務(デジタルエンターテイメントパートナー統括本部担当)の堺和夫氏が10月4日、IT関連見本市「CEATEC」で講演した。

 堺氏は日本AMDに26年間勤務し、営業本部長、副社長、社長、会長を歴任し、米国本社の上席副社長も兼務した人物だ。その経験からマイクロソフトに招かれ、Windowsクライアントビジネス開発事業を約半年間務めた後、現職に至っている。

 コンピュータの中核部分を知り尽くした経験と知識に加え、音楽や映画に対する自身の身近な事例などにも触れながら、同社が描く次世代エンターテインメントの概要とその取り組みについて紹介した。

 要点は大きく「ITとエンターテインメントは相性が良い」「簡単便利な楽しさが重要」「日本で、そして世界へ」――の3点。

 まず、堺氏は「ITとエンターテインメントの関係性」について説明した。

マイクロソフト執行役常務の堺和夫氏 マイクロソフト執行役常務の堺和夫氏

 現在、音楽、映像、ゲームなどのエンターテインメント分野は大きな変革期にある。そのいずれも共通しているのが、ネット配信とポータブル性だ。音楽であればアップルの「iPod」、映像であれば「YouTube」、ゲームであれば「ニンテンドーDS」などが挙げられる。また、IT業界全体を見渡せば、地上デジタル放送に代表される「アナログからデジタルへの移行」、次世代DVDに代表されるハードおよびソフトの大容量・高品質化がある。

 ITとエンターテインメントは両業界全般で大きな変革が起こっており、部分的な変化で両業界を捉えるのは難しい情勢になってきている。「エンターテインメントをITの世界へ、エンターテインメントがITの世界へ」(堺氏)という大きな需要が世界規模で起こっているため、堺氏は「キーワードを決めるのにかなり悩んだのだが……」と前置きし、「Trance Formation」という言葉を選んだ理由を説明した。

 次に、マイクロソフトの具体的な取り組みを説明しながら、「簡単便利な楽しさが重要」という要点について解説。最初に同社が東芝などの陣営と推進している次世代DVD規格「HD DVD」の魅力について訴求した。デモンストレーションを交えながら、高画質・高品質であることはもちろん、互換性が高いことも強調。「1+1>2」(同)の具体的な事例として、11月22日に発売する同社製ゲーム機「Xbox 360」用HD DVDでは、映画視聴の際に付加情報を同時閲覧できることなどを紹介した。

 音楽の分野で言えば、「ロスレス」と呼ばれる高品質の音声を視聴したり、その高品質の音声を再生できないデバイスへ簡単にデータ変換できるサービスなどをデモンストレーションした。

 これら使い勝手の良さと高品質をテーマにしたサービスを、同社の時期OS「Windows Vista」でも重要と捉えて対応することを宣言した上で、次世代のデジタルエンターテインメントは「圧縮技術」「著作権管理」「制作ツール」「機能の開発キット」「配信システム」「標準化」などが重要なキーワードで、そのいずれの部分でもマイクロソフトは最適なサービスを提供しており、また、提供予定であると示唆した。

 最後に、「日本で、そして世界へ」の要点について、日本独自の有望なデバイスとして「携帯電話」、同コンテンツとして「アニメーション」があることを指摘。その対応を行う一方、次世代デジタルエンターテインメントは各パートナーとの協力が非常に重要になることから、そのために同社が最大限の準備をしており、努力をする姿勢にあることを強調した。具体的な事例としては、同社がディスク製造会社のメモリーテックとアニメーションの動画画質最適化における技術協力で10月4日、合意したことを発表した。

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