なぜmixiはこれほど成功したのか--笠原社長が明かす開発秘話 - (page 3)

インタビュー:西田隆一(編集部) 文:加藤さこ2006年10月03日 08時00分

APIの公開や海外展開も視野

--爆発的な勢いでユーザーが増え、かなりのサーバ台数が必要になっていったと思いますが、インフラはどう作っていったのですか。

 サービス開始時には、米国の安価なレンタルサーバを1台借りていましたが、当初からユーザー数あたりのページビューがほかのサービスに比べて多く、負荷が高いのはわかっていました。ユーザーの増加に伴い、日本にサーバを移動し、極力負荷を分散させながらサーバの台数も随時増やしていきました。データベースは、負荷の状況を見ながら拡張できる設計に切り替えていきました。ページビュー単位で比較すれば、コスト面でも他社より非常に抑えられていると思います。

--負荷に耐えられる設計でなければサービスとして成功しないと思うのですが、mixiが負荷に耐えて稼働していたのは、サーバにすごく投資していたのではないかとのうわさもあります。

 サーバを買って済むのなら楽ですよ。いかに拡張させるかが問題です。その点では合理的にコストパフォーマンスを考えながら作っていきましたが、非常に苦労しました。

--mixiミュージックやmixiニュースといったオプションサービスを始めた意図は何でしょう?

 人と人とのコミュニケーションの上で大きな話題となるものについては、専門サービスを作っていこうという考えです。ニュースや音楽が元となるコミュニケーションは、インターネット全般において大きな要素を占めています。新しい付加価値を提供するのが狙いです。

--mixiにはニュースをはじめとしたメディアサービス的な部分と、メールやアプリケーションに近いコミュニケーションツールとしての部分があると思います。mixiはどちらにより注力していく考えですか。

 mixiは、単なるコミュニケーションツールというより、メディアに近い役割もあると思います。糸電話のようなものをイメージしているのではありません。ユーザーがコンテンツを作り、双方向性を持って情報交換できることを含めてコミュニケーションだと思っています。

 未定ですが、今後の取り組みとして、メッセージ機能を拡張したり、メッセンジャーのようなサービスを展開することも、もしかしたらあるかもしれないです。いずれにしろ、現実の人間関係に近い形のネット上のコミュニケーションが広がっていくと思いますので、そこで一番使われるサービスになりたいですね。

 今後、動画を使ったコミュニケーションが一般的になり、さまざまなデバイスがネットにつながるようになるでしょう。mixiでもAPIを公開することによって、面白いサービスが生まれることもあるかもしれません。それらは前向きに考えていきます。将来的な目標として英語圏や中国、韓国などの海外でもmixi、もしくはそれ以外の何か新しい良いサービスを提供し、インパクトを与えていければと思っています。

ミクシィ社内 ミクシィの社内は上場のお祝いで届いた花であふれかえっていた

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