AMDのヘスターCTO:「戦いの準備は万端」 - (page 3)

文:Michael Kanellos and Tom Krazit(CNET News.com) 翻訳校正:編集部2006年09月29日 22時21分

--ここ数年間のAMDとIntelの競争を見ると、2つの要因が重要な役割を果たしています。AMDの変化と、Intelが犯してきた多くの失敗--ここでは、Intelは世界で最高のチップは持っていなかったと表現しておきましょう。しかし現在、Intelはいいベンチマークの値を記録するチップのシリーズを出してきています。これからの数年間、AMDの成長は難しくなるでしょうか?

 健全で公正な、開かれた競争環境に2つの強い競合企業があれば、ある時点では互いに対等に渡り合える製品が出てくるものです。

 これまでの一時期、Intelは混乱していました。他にうまい言い方がありません。Intelはようやく、われわれが大体2〜3年前に行ってきたことに対して対応しつつありますが、われわれも次世代の製品を用意しています。

 公正で開かれた競争がある以上、2つの企業の間の競争になるのは当然です。そして、顧客企業と話してみると、それが顧客企業が望んでいることなのです。

 わたしが顧客企業と話す際、彼らは通常4つか5つの異なる選定基準を使っています。価格はもちろんその1つですし、性能もその1つです。顧客企業がそのプラットフォームでどのような新機軸を実現できるかということも、選定基準の1つです。

 有名な企業の中では、DellとIBMがAMDとIntel両方の将来のロードマップを見ているケースのいい例です。両社ともわれわれAMDと、より広い範囲の製品で協力していくことを選択しています。これらのことから、我が社は全体的に正しい方向に進んでいるとわたしは読んでいます。性能だけの問題でもなく、価格だけの問題でもありません。

 Intelは今後も積極的な動きを続けていくでしょう。しかし、そのことでわれわれが混乱しているということはありません。われわれは正しい設計を持っていると考えています。

--もう1つ、AMDについてよく言われていることに、AMDは基本アーキテクチャに漸進的な改良を加えていくことばかり話している、というものがあります。Intelの方が速いペースでアーキテクチャの変更を行っており、AMDは技術面で後れを取るのではないかという人もいます。

 わたしの意見では、Intelが実際に今やっているのは、失敗の修正だと思いますね。「Core」シリーズのマイクロアーキテクチャをよく見ると、「Pentium III」のものに似ていることがわかります。「Netburst」(Pentium 4の基礎になるアーキテクチャ)はパイプラインの段階数の面で行き過ぎでした。悪い設計になっていたと思います。

 このため、Intelは元に戻って修正をしなければならなかったのです。われわれにはその必要はありませんでした。AMDのコアには基本的な失敗はなく、それに対しIntelはNetburstで違う立場に立たされています。IntelのNetburstは根本的な問題を抱えており、このためIntelは根本的な変更を行う必要がありました。われわれはその道は辿りませんでした。われわれは異なる道を辿り、クロックレートと並行処理のバランスを取っていったのです。

 確かに、われわれはコアに漸進的な変更を加えてきました。しかし、コア自体は全体としては正しいものです。

--そのことを念頭に置いたとき、ATIの買収はそれに対してどういう働きを持つのですか。

 ATIの買収によって、我が社はようやく人為的に作られた市場の垣根を越えて、正しい最適化を行うことができるようになりました。現在のCPU業界とグラフィックスプロセッシングユニット(GPU)業界の間には競争がありますが、正直に言ってこれは人為的に作られたものです。これらを一緒に扱えば、正しいトレードオフのバランスを取った、よりよいアプローチができるようになります。CPUとGPUの間で回路を移動させる必要が生じた場合、今のわれわれにはそれが出来るわけです。

--モバイル分野用のコアを作るという計画に変更はありますか?

 モバイル分野は、AMDが会社を挙げて取り組まなければならない分野です。そして、この分野こそグラフィックチップを統合した効果が最も大きく現れるところです。

--マイクロプロセッサ自体に統合するのですか?それともチップセットに?

 CPUとGPUの統合です。取引が早い時期にまとまれば、45ナノメートルでの設計を行う際に統合することを目指します。

--それは2008年ですか?

 そうです。グラフィックスの分野では、別のことも起こっています。それは、プログラマブル性が高まっていることです。以前は、GPUはポリゴンレンダリングだけに使われていて、それこそがグラフィックスだと考えられていましたが、最近は開発者がプログラミングを行うことが多くなりました。

 次世代のゲームは、もっと大きな動きを引き起こすでしょう。表面を本物のように見せるのではなく、本物のように動くようになります。GPUはかなり大きなサイズの本物のプログラムを実行できるようになりました。

 2008年というのはかなり先の話に聞こえるかも知れませんが、これが実際の設計サイクルの長さです。ATIはまた、携帯電話とデジタルテレビのセットトップボックスの分野でも好成績を挙げています。

--x86を携帯電話に載せることも視野に入れていますか?

 もちろんです。ハイエンドの高機能な携帯電話は、ソフトウェアで動いています。今市場に出回っているものを見ると、多くのものは縮小セット命令コンピュータ(RISC)プロセッサを使っており、それは十分成功しています。しかし、ソフトウェアスタックが複雑になってくると、同じアプリケーションを(携帯電話でも)走らせたいと思うようになる可能性があります。

 しかし、携帯電話業界に入り込むのは困難ですね。Intelは最新のBlackBerryの機種で契約を勝ち取りましたが、これは珍しいケースです。

 繰り返しになりますが、今世の中に出回っているプロセッサのアーキテクチャはたくさんあります。Power PCもあれば日立のものもあります。これはつまり、今はこの分野に汎用のアーキテクチャを持ち込むのに適した時期ではないということです。まだ、汎用のものは必要とされていません。しかし、ソフトウェアスタックがより複雑になるにつれて、ソフトウェアの開発環境が大きな問題となってくるでしょう。その頃には、x86もいい勝負が出来ると思います。

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