動画や音声の改ざんを検出するソフトウェアには、静止画の改ざんを発見するソフトウェアと同様の仕組みが採用されそうだ。大まかに言うと、デジタル記録のなかにある不自然な例外事項が利用される。例えば、映像がインターレース表示されると、各画像を構成する平行線が一度に半数だけ表示され、残りの半数は次に表示される。両者が続けて高速で表示されると、脳はこれを合わせて完全な画像として認識する。
ソフトウェアがこうしたインターリーブパターンのなかから不自然さを見極めることができれば、編集の痕跡を突き止めることができるかもしれない。また、説明できない光のパターン、色の異常、シーンや画像の複製、または基礎的なメタデータの不整合性を検出するツールが作成されることも考えられる(夜景撮影機能は使われていたか?それは画像と一致しているか?オリジナルデータは後で変更されていないか?など)。
また、ビデオストリームにおけるシーンの不連続性、すなわち、わずかだが不可解な飛びも、不正行為の検出に役立つ証拠となるかもしれない。しかし、シーン間の連続性を定量化することは、今のところ困難だ。
同様に、背景のノイズ中にみられる予想外のパターンや複製を検出することも、音声記録を調査する際に採用できるかもしれない。
不正行為の検出には確率が重要な役割を果たすが、ハードウェアに対する基礎的な理解も必要である。Farid教授によると、メーカーが異なるデジタルスチールカメラや、同じメーカーでも機種が異なるデジタルスチールカメラでは、JPEGの量子化テーブルが異なることが多いという。これらのテーブルは、カメラが写真データを圧縮する際に使うレートを定めている。Farid教授のグループは、異なるカメラ間の量子化テーブルを調査するソフトウェアを考案している。
「Adobe Photoshop」は独自の量子化テーブルを持っている。その結果、Photoshopが使われた場合や、言われているのとは異なるカメラが実際には使われた場合、Farid教授のソフトウェアはそのことを認識できる。
「カメラのシリアルナンバーまでは判らないが、『Canon PowerShot』ではなくNikonで撮影されたものだということは分かる」と同教授は言う。「また、Photoshopの使用も判別できる。画像に施された処理は識別できないが、カメラから直接得られたものでないことはわかる」
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