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アップル「iTV」発表への7つの疑問 - (page 2)

坂和敏(編集部)2006年09月13日 23時11分
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2.映画ファイルの解像度について--HDビデオ配信の可能性は?
 われわれ日本の消費者は、「これからはフルHDで」といったテレビのCMを毎日のように目にしている。またBlu-ray対HD DVDの次世代DVD規格をめぐる争いについても見聞きすることが多い。そんな日本人のわれわれからすると、iTunesでダウンロード販売される映画等の解像度が640x480ピクセルという点には、「今更なんで?」と首をかしげる部分がある。

 もっとも、この点についてはニュース記事のなかに「1本の映画作品をダウンロードするのに、5Mbpsの回線で約30分かかる」との説明がある(このあたりも、ブロードバンドの普及に関し、「ADSL加入者は頭打ちで、FTTHの導入が本格化」といった日本の状況とは感覚的に大きく異なる部分だ)。それを踏まえると、ビデオの規格をMPEG-4(H.264)にしてファイルサイズの「軽量化」をはかり、なおかつiPodでの再生との兼ね合いも考えて、この解像度になった、というところだろうか。

 ただし、Appleではかなり前から「QuickTime」でHDビデオをプロモートしている(Macでの再生を前提として)。また、iTVの出力端子も、「現時点」用のコンポーネントと「これから用」のHDMIの2種類しか用意されていない。コンポーネント--同じアナログ接続でも、D4端子とほぼ同程度かそれ以上に綺麗に見える、というのが筆者の印象--はまだしも、HDMI接続となれば、当然ユーザーはHDの映像を期待したくなる。また、8月29日付けの「MIT Technology Review」サイトに掲載された記事「HDTV over the Internet」によると、バンクーバー(カナダ)のMatrixstreamという会社が、HDクオリティ(MPEG-4 Part 10/H.264)の信号を2.5Mbpsで送れる技術を開発したという(ちなみに、普通のDVD画質=MPEG-2のビデオを送るとなると、帯域幅は18〜20Mbps必要になる、とこの記事には出ている・・・もう少し少なくて済むようにも思えるが)。仮にこの技術が普及すれば、たとえば5Mbpsのケーブル回線経由でも、余裕をもってHDビデオを送れるようになる。

 どちらにせよ、Appleとしては状況をにらみながら、いずれはHDビデオの配信をにらんでいくのではないか・・・(iTVに採用される無線規格について「IEEE 802.11」とだけ述べて、それが「g」「a」「n」のいずれになるのかをまだ決めかねているところからして怪しい)と、これはあくまでユーザーの期待を込めた想像である。

3.iTVはどこまで市場で健闘するか?
 iTVという製品は、無線LAN接続でテレビをMac-iPodの生態系に組み入れるためのまさに「飛び道具」だろう。この製品が実際に市場でどこまで健闘するかは、Appleのリビングルーム進出計画の成否を握ることになるかもしれない。

 ただ、299ドルという予定価格がどこまで受け入れられるか、提供するメリットがどれほど理解されるかは、現時点ではまだよくわからない(いま、Amazon.co.jpで確かめたところ、基本的に同様の役目を果たす無線LAN搭載ネットワークメディアプレーヤーが3万円程度で売られているのを見つけた。さらにデジタルテレビチューナー搭載のハードディスクレコーダーのなかにも、写真のスライドショー表示機能などを持つものはすでにある)。iTVには光学ドライブはないので、手持ちのDVDを見ようとすれば、別にHDDレコーダーを用意するか、無線接続したMacで動かす必要があるだろう(iTunesでの映画作品の品揃えが相当な数になるまで、これは致し方ない)。一方、さまざまなデータの一括管理という点では、テレビにiTVをつなぎ、家庭内ネットワークのコントロールセンターとしてMacを利用することのメリットは確かにある。今後はこのあたりの判断で迷うことになる、というのがユーザーとしての率直な印象だ。

 あくまで電波受信用のチューナーを無視している点は、ケーブルテレビ(と受信用のセットトップボックス)が普及している米国市場の状況を踏まえてのことと理解できる。ただし、今日のAAPL(Appleの株価)は前日比+0.13ポイント(0.18%)増の72.63とほとんど反応していなかったことから、Appleのリビングルーム進出に関する戦略について、映像のソースがiTunesからダウンロードするビデオ(と各ユーザーのセルフメードのデータ)という点は、あまり好意的には受け取られていないのかもしれない(NASDAQが1.96%上昇していることから、この0.13%増はマイナスの反応と読み取れなくもない)。もっとも、既成のテレビ番組の代わりとして「YouTube」にあげられたビデオを(テレビでも)観ようとするユーザーが増えれば話はまた異なってくるだろうが・・・。

4.日本での動きは?
 Steve Jobs氏は映画ダウンロード販売について、「2007年には海外市場でも・・・」との希望を口にしていたが、日本での展開がどうなるかは当然ながらわれわれにとってもっとも気になるところだ。

5.iTVの中味は?
 これは製品発売時点で(誰かが「ばらし」次第)明らかになるはずのことだが、あの薄い筐体のなかにどんなパーツが含まれ、どんなOSで動いているのかは、個人的に非常に気になる。

6.なぜ、AppleはSteve Jobs氏の基調講演をテレビ中継しないのか(いつもストリーミング中継が混み合ってなかなか観られない)

7.なぜ、Steve Jobs氏はシャツを着ていたのか--お馴染みのタートルネックではなく

(最後の2つは単なる数合わせで並べてみただけなので省略)

 最後に。  Steve Jobs氏は基調講演のなかで「See You Soon」もしくはそれに類するフレーズを口にしていた。たしか「Soon」は2度出てきたと思う。これは単なる「挨拶」なのか、それとも新たな製品発表の予定があることを示唆しているのか・・・後者だとすれば、やはりフルLCDの新型iPodも・・・と期待は膨らむばかりである。いずれにせよ、今年もまたAppleにとっての「新製品発表の秋」(米国ではある種の「新年度」)が始まったようだ。

著者紹介
坂和 敏
CNET Japan 「Apple Center」担当編集者。

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