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番号ポータビリティで携帯電話業界の再編は起こるか

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 携帯電話の番号ポータビリティサービス(MNP)が10月24日から開始されることに決まった。全利用者の10%程度が利用という予測もなされているが、実際どの程度利用されるかは事業者のキャンペーンなどに大きく依存するに違いなく、その前哨戦はすでに始まっているといえよう。

MNP導入の経緯

 10月24日から電話番号を変えることなく契約する携帯電話会社を変えることができるサービス(MNP)が開始されることが発表された。

 2002年半ばより総務省が通信事業者などからなる勉強会を開催し、翌年11月には通信事業者らに加え外部識者などからなる研究会に発展。2004年4月末には、同研究会報告書において、MNP導入により業界の更なる活性化が推進され利用者利便性が高まると結論。2006年半ばの導入を目指すこととなった。その後、MNP実現方法に関する議論が行われ、結果的に今年11月までの導入が確定的になっていた。

 途中、すでにMNPを導入していた先進国や、まさに導入を行ったばかりの韓国の事例などが話題になった。が、端末の開発に通信事業者が介入し、でき上がった製品を一括買い取りした上で、将来の通信料を見込んで値引き再販するという日本特有の業界構造に対しては、構造以外の点も多くあり(例えば、電話番号に紐付くテキストメッセージングサービス(SMS)が主流で、SIMカードがすでに一般的になっていたGSM圏など)、比較のしようもなかった。また、数多く行われた利用意向調査の結果なども非常にぶれが多いこともあって、いまだにMNPがどれほど利用され、結果的にどのくらいの利用者に直接便益を提供できるかは分かっていない。

番号を変えずにサービスを変える

  番号ポータビリティそのものは、すでに加入回線やIP電話で導入されており、その導入に際してもそれほど大きな話題にはならなかった。それもそのはず、そもそも大多数の人は、家庭の電話番号は通信事業者よりも、むしろその家屋や部屋そのものに結びついた記号であるという認識を持っており、利用する通信事業者やサービスの種類で電話番号を変えなければならないということには強い抵抗があった。

 例えば、インターネット初期にアナログモデムより高速な回線を求めてISDNへのサービス種別変更を申し出ると、収容交換機の違いから番号の変更が不可避だった地域も多かった。家族で共用している加入回線電話であれば、番号変更を周囲に通知することの不便さを考えるとそう簡単に番号を変えるわけにも行かず、低速で不安定なモデムのダイヤルアップ環境を甘受するしかないという経験をした人も少なからずいたに違いない。

 しかし、前述したようなサービス種別の変更による番号移行の必要性もきわめて短い間に解消され、いったん需要が生じてからはサービス移行が頻繁に行われるようになった。そして、マイライン導入からしばらくすると、CATV電話といったNTT以外の事業者へのサービス移行でも番号変更は不要になって、これもそれなりの成功をおさめることになった。

 「番号が変わってしまうのは、事業者の都合」という利用者の理解が高まり、(グループ企業を通じて)通信事業者は番号変更に対して利用者は抵抗をもつものだという理解も経験も得たはずだが、なぜか携帯電話については積極的に番号ポータビリティを導入しようという意図を示すことはなかった。

 それというのも、21世紀に入って普及が頭打ちになるにつれて新規獲得競争が激化し、その対策となる端末開発や小売へのインセンティブに大きなコストを投じつつ、新たな付加サービス導入のための先行投資を行わざるを得ない状況だった。それらをさらに加速させ、加えて自社顧客のつなぎ止め施策にも積極投資が不可避となるMNP導入は、一種「寝た子は起こすな」的な発想の下、大きな利益をあげ続けた携帯電話通信会社であってもなお避けられれば避けたいものであったに違いない。

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