もちろん、途上国にWi-Fiネットワークを導入する時ははるかに厳しい要件を満たす必要がある。機器は温度差、高湿、酷暑、粉塵、そして昆虫や齧歯類の攻撃に耐えるものでなければならない。しかし、こうした問題の解決はそれほど難しくなかったとBaikie氏は言う。「技術はすでにあった。それを適切な方法で組み合わせる必要があっただけだ」(Baikie氏)
太陽電池パネルには10ワットの「Shell ST10(PDF)」を採用した。このパネルはひょうの嵐にも耐えることができるように設計されている。つまり、ちょっとやそっとのことではばらばらになったり、壊れたりしないということだ。
保護ジェルで包まれたバッテリはオートバイのバッテリよりも小さく、利用と再充電を何度も繰り返すことができる。ルータには市販の「Netgear WGT634U」を採用した。このルータは消費電力が少なく、さまざまな帯域幅に対応している。
ネットワーク上でインターネットコンテンツを配信するためには、主たるブロードバンドアクセスポイントがひとつあればいい。アクセスポイントまでの距離は数キロに及ぶこともあるが、幸運なことにWi-Fiの通信距離は最長1キロ程度なので、複数のノードを比較的安価に設置することで、数キロ先まで信号を伝えることができる。プライマリソースは通常、貧困地域の学校に比較的近い場所にある。
「デジタルデバイドの問題は物理的な距離に限らない」とPomerleau氏は言う。Pomerleau氏は、貧しい学校の多くが、都市部の、インターネット環境を持つ大手の国際企業の近くにあることに気づいた。「問題は、そこに接続できるかどうかだ」(Pomerleau氏)
Green Wi-Fiは夏の終わりから初の本格的なパイロットプロジェクトに着手する。カナダの援助団体から、インド北部のウッタルプラデシュ州にある3つの学校でWi-Fiを使いたいという依頼があったのだ。そのうちの1校にはケーブル接続環境がある。問題は地域の電力供給が安定していないことだ。
パイロットプロジェクトの資金はまだ不足しているが、Baikie氏とPomerleau氏はシリコンバレーから支援の手が差し伸べられることを期待している。「デジタルインクルージョン(誰もがデジタル技術を利用できる社会)は社会的意識の高い企業、特にシリコンバレーの企業の間では重要なテーマとなっている」とPomerleau氏は言う。
他方、Pomerleau氏は食糧や水にもことかく人々にインターネットアクセスを提供することを疑問視する人々がいることも承知している。「もっともな意見だと思うが、われわれには浄水の方法も食糧供給網を整備する方法も分からない。しかし、この活動が格差の解消に貢献していることは確かだ」(Pomerleau氏)
Green Wi-Fiでは今後、他の援助プロジェクト--たとえばインターネットコンテンツを作成し、インターネットの使い方を教えている教育団体とも提携していきたいと考えている。情報は終着点ではないが、新しい思考や可能性の扉を開いてくれるとBaikie氏は指摘する。
「世界市場にアクセスすることは、生活水準の向上にも役立つ。インターネットにアクセスすることができれば、現地企業はオンラインで工芸品を売ることができるかもしれない」とBaikie氏は言う。「そうすれば生活を改善し、清潔な水や食糧を手に入れる機会やチャンスが生まれる。金がなければ、生活を抜本的に変えることは非常に難しい」(Baikie氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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