マイクロソフトのCEO(最高経営責任者)Steve Ballmer は物議をかもす発言をすることで知られている。
独禁法訴訟が始まった頃、「(当時の司法長官)Janet Renoなどくそくらえだ」と発言したのは彼である。また最近ではLinuxを「(ソフトウェア業界の)癌」呼ばわりしたこともある。
そのBallmerが先月、100ドルのコンピュータが実現すれば、海賊版ソフトの流通に歯止めがかかり、また開発途上国でコンピュータを普及させることができると述べた。この発言は、彼にしてはまっとうな部類に入るのではないだろうか。
「開発途上国の低所得者層にPCを行き渡らせるには、400ドルでは駄目だ。100ドルのコンピュータが必要だ」とBallmerは語っていた。
しかし、コンピュータ業界に安価なPCを提供する必要があると提案することは、Ballmer自身とマイクロソフトを苦しい立場に追い込むことにもつながる。マイクロソフトは安いPCを実現するための方策として、極めて高いことで知られるWindowsの利幅を抑えるつもりがあるのだろうか。それとも、現状でも極めて利益の薄いハードウェアメーカーに、さらなる利幅の縮小を求めるつもりなのか。
アナリストらの推定によると、現在マイクロソフトでは、PCメーカーに対してマシン1台あたり50〜75ドルのWindowsライセンス料を課しているという。マイクロソフトに言わせると、このライセンス料は額面ではここ数年変わっていないということだが、ただしその間にハードウェアのコストは大幅に下がっている。ということは、PCの価格に占めるWindowsライセンス料の比率が大幅に高まっているということになる。
最近、マイクロソフトは、Windows XP Starter Editionと呼ばれるWindowsの廉価版を、インド、インドネシア、マレーシア、ロシア、タイといった途上国向けにリリースした。この廉価版Windowsのライセンス料は1コピー約36ドルで、新規購入のPCにバンドルする形でしか販売されていない。
Advanced Micro Devices(AMD)やIntelでも、PCの低価格化に向けた取り組みが進んでいる。両社の最新型チップは1つにつき1000 ドル近くもするため、両社とも途上国向けの低価格チップを開発している。たとえば、AMDのSempronは、1000個購入時の単価を39ドルまで値下げできるという。
AMDでは、185ドルのPCを実現するための青写真がすでに出来上がっている。Personal Internet Communicator(PIC)と呼ばれるこのPCは、年収1000〜6000ドルの所得者層をターゲットにしたものだ。AMDによると、すでにインドと南米の合わせて3つの企業と、このPCの販売契約を結んでいるという。ただし、このシステムにはモニタは含まれておらず、OSには、処理能力の高いWindows XPではなく、Windows CEベースの専用版を使用する。
Intelも東欧やインド、その他の途上国向けに低価格PCを提供する方法を模索している。情報筋によると、Intelはあるプロジェクト(コードネームは「Shelton」)の一部として、プロセッサ装着済みの特殊な低価格マザーボードを販売しているという。同社の最終目標は199ドルのPCを生産することだ。
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