グリーはどこへ行くのか - (page 3)

永井美智子(編集部)2006年08月12日 10時12分

--GREEのアクセスに占めるモバイルの割合というのは、現状どの程度ですか。

 2〜3割だと思います。ただ、GREEモバイルを開始して以来、モバイルの占める割合というのは増え続けているんです。

 世の中にはモバイルしか使えない人というのも多いんですよ。パソコンのインターネットを中心に使っている人というのは、モバイルへのニーズを過小評価している気がするんですよね。

 最近ショックだったのは、若い人と話していたときに「家に帰ってパソコンを開くのは疲れるからモバイルでやる」と言われたことです。それまで、「携帯電話だとボタンが押しにくいじゃないか」とか「画面が小さいじゃないか」と思っていたんですが、そういう議論とはまったくレベル違う話が起きている。

 ニンテンドーDSなんてまさにそうですよね。一見関係ないようで、実は大きな流れとしてはモバイルサービスとも関係していると思うんです。

--社員数は現在どのくらいですか。

 25人ぐらいです。平均年齢は26歳くらいですね。今回のKDDIとの提携を発表してから、「こういうことをやりたい」といって採用に応募してくる人が増えました。僕らもモバイルに対して、現状そこまで詳しいわけではないので、そう言ってくれる人をどんどん仲間に入れて、成功させたいと思っています。

 モバイルインターネットというのは日本が一番発達していると思うんですよ。そういう業界で、誰もまだ成功していない、モバイルにおけるSNSというものを成功させられたら、それは世界で初めてのものになると思うんです。そういう、世界中に影響を与えて、価値を提供できる企業を目指していきたいですね。

--目標にしている企業はありますか。

 最近だと、Apple Computerや任天堂がすごいなと思うんですよね。どうしてかというと、5年前だったらAppleも任天堂も、「この会社ってもうダメだよね」というように思われていた。AppleはMicrosoftに押されていたし、任天堂はファミコンで成功したけれども、ソニーのPlayStationが出てきて市場を奪われてしまった。ところが今は、iPodやニンテンドーDSがヒットしている。

 自社のエレクトロニクスとか、エンターテインメントといった基本的な領域は守りながらも、音楽配信や携帯型ゲームのように、時代に応じた最先端のサービスを作り続けていける会社というのが一番価値のある会社だと思うんです。

 グリーも、SNSやモバイルなどの新しい時代の波をとらえて、もっといいサービスが作っていけるような会社にしていきたいなと思っています。

--インターネット関連の企業よりも、よりコンシューマーに近い企業を意識しているということですか。

 やっぱりインターネット企業は、事業の歴史が浅いこともあって、単一のサービスを作っているところが多いと思いますね。例えばGoogleも心からすごい企業だと思いますが、Google VideoではYouTubeに負けているところがある。

 逆に言えば、あれだけの資本や人材を持つGoogleをもってしても、それを上回るようなインターネットのサービスが生まれてくるのがすごいですよね。Yahoo!が出てきたときには、こんな企業はほかにないと思った。けれども数年後にGoogleが出てきて、次にはYouTubeとかいろいろな企業が生まれている。もはやこの業界に終わりはないなと思いますね。

--SNS業界では、mixiの会員数が500万人を超えて、1人勝ちのような状態になっていますよね。その一方で、ヤフーがYahoo! 360をYahoo! Daysにリニューアルしたり、新しいSNSも数多く登場している。いまのSNS業界をどう見ていますか。

 いろいろなサービスが最終的には登場してくると思いますよ。ただ、基本的に他社の動きというのはさほど気にしてません。ユーザーが何を求めているかとか、次にはどんな流れがあるかということを考えて新しいものを提案していくということが本質なんだと思います。

--GREEを個人で始めた2年半前に考えていたことと、いまの状況は違っていますか。

 みんながこんなにブログやSNSを使うとは思っていなかったというのが一番大きいですよね。

 会社の状況で言えば、ベンチャー全般に言えるんですが、「こうしたい」と思っても資金や人材などの問題でできないことが多い。できる範囲や優先順位を考えて、1つ1つ作っていくしかないかなと思いますけどね。そういう意味では、会社としていろいろ成長していくことで初めてできる領域というものもあると思いますから、思ったこと、感じたことを実現できる体制を作らないと何事も始まらないなと思います。

--今後の目標は。

 任天堂やAppleのように、良いサービスを作り続けていきたいですね。それは会社としての目標でもあるし、自分個人もそうありたいですね。iPodやニンテンドーDSの出荷量は数百万、数千万の世界ですよね。それは本当にすごいと思います。

 ただ、そういう面で言うと、携帯電話というのは、ここ10年ぐらいで見て最も普及しているIT製品なんですよね。こんなに普及しているものはない。そういったプラットフォームの上で、大きな変化が起きているタイミングで何か新しいことができるというのは、やはり大きなチャンスだと思いますね。

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