大日本印刷(DNP)と米Brion Technologiesは8月8日、半導体製造用フォトマスクの生産性および製品精度の向上を目的とする共同開発に取り組むと発表した。両社は、Brionの半導体回路パターン設計向け検証用シミュレーションシステム「Tachyon(タキオン)システム」を利用し、同システムをフォトマスク製造に応用するための作業を進める。
半導体メーカーは、ウエハに転写する回路パターンの精度を高める目的で、フォトマスクの設計データにあらかじめ補正パターンを入れて仕上がり形状を制御する光近接効果補正(OPC:Optical Proximity Correction)処理を施す。製造プロセスの微細化がさらに進む45nmノード以降では、より高い精度が求められる。そこで、OPC処理済みフォトマスクパターンによる転写の状況を設計段階で精密に予測するため、光露光シミュレーション検証が重要となる。
DNPとBrionによると、「従来の光露光シミュレーション用検証ソフトは、パターン上の代表的な点からシミュレーションしている」と説明する。それに対し、Tachyonシステムは、フォトマスクパターン全体を使用することで、精密な光露光シミュレーションを高速に処理できるという。
共同研究を通じ、両社は、Tachyonシステム未導入の半導体メーカーからフォトマスクパターンデータを受け入れ、露光シミュレーション検証を実施する。検証結果から、半導体製造時に問題となりうる回路パターンを特定し、半導体メーカーにフィードバックする。また、実際に製造したフォトマスクの回路パターンをTachyonシステムに取り込み、同様のシミュレーションを行うシステムも開発する。
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