ミスコリア候補の映像から見えてくる--ユニークな動画広告戦略

佐々木 朋美2006年07月28日 17時31分
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 韓国で最近、ミスコリア候補たちの日常的な素顔を撮った動画が公開され、ネチズンの間でちょっとした話題となった。

 その映像は最近、韓国でも流行の「You Tube」的な動画専門サイト「Mgoon」で披露されたものだ。

 ミスコリア候補が教育を受けるために行われたサイパン合宿に際し、彼女たちがホテルなどで過ごす様子・・・部屋でチョコレートを食べながら談笑したり、歯磨きをしたり・・・といったノーメイクの姿が、活き活きと映し出されている。さらにこれを撮影したのがプロのカメラマンではなく、ミスコリア候補自身という点も新鮮で、検索サイト内の情報交換コーナーでは「ミスコリアが撮った動画、どこで見られる?」といった質問が飛び交っていた。

 この時合宿映像の1つとして、宝石店の「mucha」社長から、宝石に関する講義を受ける様子も公開されているが、実はこの動画、mucha自身の広告という側面をも持つ、大変戦略的な映像である。

 これを見た人たちが「ミスコリア候補たちへの講義にも登場した宝石や宝石店」としてmuchaを認識し記憶する。それはドラマの主人公が身につけた洋服やアクセサリーに注目が集まるのと同じ原理の広告手法だ。

 Mgoonではこのように、映像の中にさりげなく商品や店名を登場させることで宣伝を行う「PPL(Product PLacement)」という手法により、自社の動画の広告収入を得ようと考えている。今回はその映像が、プロではなくユーザー自身が直接作った「UCC(User Created Content)」動画だったという点も注目度を高めた。

 動画の広告といえばオーソドックスなものが、テレビCMのように動画自体に広告を挟みこむ手法だ。

 この動画広告にもっとも積極的な動きを見せている動画サイトが、「パンドラTV」gretecだ。パンドラTVは、自社の動画サイトで公開されているUCC動画に、テレビ形式の動画広告を投入して売り上げを伸ばしている。1分以上の動画に15秒程度の広告を入れる方式で、2006年6月に1億5000万ウォン、7月には3億ウォンの売り上げを見込む。

 動画サイトの「GOM TV」を運営しているgretechでは、通常20分以上のコンテンツの前に20秒程度の動画広告を入れている。2006年初頭、GOM TVをスタートさせた当時に明かした内容によると、2006年の売り上げ目標である100億ウォンのうちの80%となる80億ウォンを、広告収入から得たいとの考えだ。

 ただし映像の頭の部分に広告を挿入する方法の場合、広告を見たくない人の存在を無視することはできない。数分に満たない短い映像を見るため、必ず広告を見なければならないというのも、時にはストレスになり得る。また最初から収入分配について明確な取り決めがなされている広告目的の動画とは異なり、本来宣伝目的ではないUCCについても、広告を入れる限り収入分配についての線引きをしておく必要があるだろう。そこで広告を動画の後に入れるという新しい試みを始めている企業もある。

 Damoimは最近、Flash基盤の動画ソリューション業者であるmncastを買収。この動画プラットフォームで提供されるUCC動画の最後の部分に、広告を入れる手法を進めている。6月頃から試験的に運営しているのだが、何人が動画と広告を見たのか把握可能なため、今後はUCC製作者との明確な収入分配が可能となる。

 またサイワールドを運営するSK Communicationsでは、ミニホムピィ(サイワールドで会員1人1人に与えられるホームページ)の最初の画面に動画広告を表示する手法を進めている。これはミニホムピィの主人が、その人の関心事を登録した上で、広告閲覧という申請をしておけば、そこの主人のみが広告を見られるうえ、サイワールドの電子マネー「どんぐり」を与えられるというものだ。たとえば関心事が「語学」ならば語学学校の広告などが表示されるが、このミニホムピィに遊びに来た他の会員にはこの広告が見えないため、広告がストレスにならないというわけだ。

 インターネットでは、単に広告を入れるだけの段階を既に過ぎている。広告のターゲット以外にはストレスを与えず、逆にターゲットからは確実に成果を挙げられるような動画広告の上手な提供の仕方について、韓国では様々な工夫がなされている。

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