山口氏に続き、後半では魏氏による「日本のオンラインゲームの進化・発展の方向性は正しいか」という講演がなされた。魏氏はまず、韓国の最新オンラインゲーム事情として、ギャンブル性の問題を紹介した。韓国は現在、オンライン賭博が問題になっている。2005年11月から2006年6月の間に警察の取り締まりが1300件あり、8486人が立件されているという。この問題がゲームポータルにまで批判が広がる可能性があり、今後オンラインカジノには特に注意すべきだとしている。
また、韓国ではNeowizが開発したサッカーのオンラインゲーム「FIFAオンライン」が人気で、7月19日に同時接続数18万を記録した。一方、Nexonの「ZerA」が失敗に終わるなど、大人数参加型ロールプレイングゲーム(MMORPG)の苦戦が目立っているという。
このほか、韓国では2002年から次世代ウェブの実験が検索サイトでされていることも紹介した。例として挙げたのが、NAVERが提供する「知識iN(チシギン)」だ。このサービスは知識検索と呼ばれ、ユーザーの質問に別のユーザーが答えるQ&Aサイトだ。APIを公開しているため、開発者が知識iNのデータベースを使ったサービスを開発することもできる。
魏氏によれば、次世代ウェブの精神はもともとオンラインゲームで実現していたという。次世代ウェブの哲学は「開放性」「参加」「共有」といった言葉で表されるが、それぞれ「誰にでもオープンであること」「みんなが一緒にプレイできること」「舞台などの設定がみんなのものであること」に対応しており、オンラインゲームが次世代ウェブを実現していると言えるというのだ。
魏氏は、日本のオンラインゲームの現状について、NEC 98シリーズとIBM PC、ガソリンと燃料電池、家庭用ゲーム機とオンラインゲームを例にとって説明した。日本のオンラインゲームは、NECの98シリーズやガソリンエンジンの自動車、家庭用ゲーム機によるゲームのように、非常に完成度が高く性能もいいが、自由度がない。また、1社による一貫生産のため、他社のつけいる部分がないという。
これに対し魏氏は、今後の日本のオンラインゲームは、IBM PCや燃料電池を目指さなければならないと話す。これらに共通することは、「インターフェースの標準化、共通化」「製品、サービス構造のモジュール化」「サードパーティの活性化」であるとしている。1社独占ではなく、さまざまな企業がそれぞれの得意分野でオンラインゲームを作り上げていくことで、柔軟性が高くユニークで魅力的なゲームが作れる。そしてさらに、最終的にはクローズドベータやオープンベータテストの提供で、ユーザーと一緒に改良を加え、完成させればいいのというのだ。
最後に魏氏は、韓国では、4歳児の7割がインターネットの経験があり、その多くがオンラインコンテンツに触れていると紹介した。実際にオンラインゲームを小学校の教育に利用する実験も始まっているという。オンラインゲームは子供の感性を引き出すと同時に、社会的な教育にも有効であるとして、日本でもオンラインゲームを積極的に教育に取り込むことが重要と話し、それが日本の企業や産業の将来にも役立つとまとめた。
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